2009/02/24

Star Gazing

ずっと天気がいい。
水中の透明度もここしばらく落ち着いてる。ありがたい話。

でも天気がいいとそれなりに困ったことも出てくる。
まずは真昼間。暑くて仕方ない。Tシャツじゃ暑すぎるし、かといって袖のないものを着てると汗で背中が塩になる。ダイビングの後は寒くなくていいんだけど。
これが暑期だ。

さらにこれは深刻。
水がない。ただでさえ小さな島で水が少ないのに、雨が全く降らないでしばらくすると水道から水が出なくなる。しかも今年はいつにもまして島中で工事をしているので、水がその分よけいに必要らしい。

うちのバンガローは水は出るけど塩味。
私たちの使っている手作り石鹸は、界面活性剤なんかが入っていないせいで、泡立たず。しかも髪なんか乾いた後ライオンみたいになる。

もちろん夜空にも雲はかかってない。
バルコニーの前面ぎりぎりに座って夜空を見ると、ものすごい数の星が見える。
オリオン座が目の前にあるって、わかっているのに探さないとなかなか見えない。
大きく光る星と星の間に、無数の星雲や小さな星たちが見えてしまうから。

Wolleのお父さんは天文学の先生だ。
星を見ながらWolleが言う。「ボクは小さなころ、空に見える星座を全部探せて名前を言えたんだよ。」
今のWolleからは想像しにくいけど、子供のころの話ならそうかもしれない。

星が好きな人が来たらうれしいだろう私たちのバルコニーでは今のところ、毎晩2匹の犬が空を見上げている。

2009/02/22

カンボジア行き

Wolleも私もアンコールワットに行ったことがない。
そのことはもうだいぶ前から話に出てたんだけど、二人で「へー、こんなにタイにいるのにねー。」っていう程度で話が終わってた。

ところが3月下旬に帰国を控えたWolleが突然「どっかいこうか」って言い出した。はじめのうちはWolleのよく行くインドネシアのバンダアチェに1ヶ月くらい出かけるような予定だった。
それが、チケットまで探し出したころになって、やっぱりアンコールワットにしようか、ってことになり、結局はカンボジアへ行くことに。

久しぶりの初めての国。最近はいつも同じところをうろうろしてるから、たまにはいいね。

2009/02/19

Cave Dive

Cave dive というダイビングがある。
水中の洞窟に入っていくダイビング。頭上に水面があるわけではないので、普通のダイビングよりも上級向けになる。ケーブダイバーになるためには特別なトレーニングを受けないといけない。

モスキートダイビングに今シーズンからテクニカルダイビングのコーナーができた。普通の空気よりも酸素のパーセンテージを上げたナイトロックス。それにさらにヘリウムを加えたトライミックス。ダブルタンクを使って80Mも100Mも行く減圧ダイブのディープダイブ。同じくレックダイブ、ケーブダイブ。そして、吐いた息が泡になって出ない器材を使って潜るリブリーザー。

このコーナーには今シーズンいつもJohanがいる。
飲まない、吸わない、超健康志向のスウェーデン人。体中に入っているタトゥーの一部に「健康な体に健全なたましいは宿る」って、日本語で入ってる。

そのJohanがはじめから私のカメラに目をつけて、一緒にケーブに行こうって、ずっと誘われてた。
でも、最近ちょっと狭いところの苦手な私は「そうだねー。」なんていいながらこそこそ逃げてた。
のが・・・、Johanが国に帰る前々日にとうとうつかまった。
どこに行くか、何をするか、細かく計画を立てられてしまって、本当に行くことに・・・。

Johanはすごくいい人で、モスキートのスタッフだけじゃなく、ほかの店の人まで、いつかJohanと一緒にファンダイブに行きたいと思ってたはず。
それなのに、一番逃げ回ってた私だけが行くことになった。準備してる段階で、明らかにみんなの目が「うらやましぃーー。」って言ってる。
ごめんなさい、私で。あんまり乗り気じゃないんだけど・・・なんて言ったら怒られそうな雰囲気。

Johan曰く、選んだケーブは広いからなれてなくても大丈夫。一番奥まで行かないし、怖かったらいつでも引き返す。
そうは言ってもやっぱりケーブはケーブでしょ?
でもだめだったら出てくればいいんだから、いいか。
ってことで、二人で5本のタンクを持って出かけた。

私が仕事以外でダイビングに行くなんてことは最近ないから、Wolleが様子を見に来た。トロリーに山のようになった器材を見て、
一体何人で行くの?
二人だよ。
どれだけ深く行くの?
たぶん深くて20Mくらいかな。
どうして5本もタンクを持っていくの?
確かにWolleにとっては見たこともない装備だから、びっくりしてた。
3本は予備だよ。ケーブは器材に問題が起きてもすぐに水面に上がれないから。
ふぅーん。

Johanがダブルタンク。私は普通にシングル。スペアの小柄なタンクが2本。で、合計5本。

ロングテールボートでトンサイベイの外側に出る。
ピピにはいくつかのケーブがあって、ここはスネークケーブと呼ばれる、トンサイベイから一番近いケーブ。スネークなんて名前がついてるんだから、きっと中はクネクネしてるんだと思う。

水に飛び込んで、まずはJohanが5Mで器材チェックするのを撮る。
そしてディープダイブに見せかけるためにJohanが一人で深度を下げる。私は上げる。後から映像を見たら、ものすごく深くに降りていったように見えるけど、実は25Mくらいまでしか行ってない。

それからケーブへ。
少し泳いでスネークケーブの入り口は18Mくらいの深度。
壁にぽっかり、そして大きく穴が開いてる。思ってたよりもずっと大きい。これならそれほど怖くないかも・・・。

Johanがケーブの中へ引いていくラインをケーブの入り口付近で結わえる。万が一迷ったときの道しるべだ。
まぁ、今日はそんなに奥まで行かないんだけど、ビデオのためと私のため。
この、ラインを引いて中に入っていく作業にも沢山のルールがある。
ラインはピンと張っていること、終わりのクリップはケーブの入り口に向いていること、できるだけ壁沿いに張ること、等々。
こりゃ、Johanみたいに規則正しい人にしかできないかも・・・。私が引いたラインに沿っていったら、余計に迷ってしまいそう。

Johanが奥に向かっていくのをビデオにとって、真っ暗で何も見えなくなる直前くらいでJohanを待つ。

振り返るとケーブの入り口が見える。
真っ暗なケーブにそこだけ光った青色が映える。

ケーブの中は、流れもなく音もなく、ただ暗闇と入り口の青だけがひっそりと存在していた。
ケーブに入る前は水もそれほど透明ではなかったのに、中は驚くほど澄み切っている。私がむやみにフィンを動かして中を汚してしまわないように、Johanを待つ間私はただ、中層に浮いていた。
動けないんじゃない。私だってダイバーの端くれだから、周りを巻き上げずに動くこともできる。
ただ、動きたくなかった。この静けさと美しさを一人で、無重力で感じたかった。

モルディブで働いていたころ、青い青い水の深いところで、静かに息をしていたときの感触を思い出した。
水中での過呼吸の問題が始まる前、私は、その静けさと美しさをどれほどか愛していただろう。もう、あれを感じることは二度とできないのだと思っていた。
それと同じといっても差し支えない美しさと静けさがケーブの中にはあった。
私の愛する静けさ。

Johanは知っていたんだろうか。前に過呼吸のことを少し話したことはあるけど。

数分すると、Johanが戻ってくる。
ラインに沿って奥へすすむ。私が怖がっていないかどうか確認するために私の体の一部を常に触っている。まるで私が体験ダイバーにするみたいに。・・・。そうかこれ私にとって、体験ケーブダイブなんだ。

私は自分でも驚くほど落ち着いていた。そして、好奇心の塊になっていた。
怖くてドキドキして、途中までしかいけないかもしれないと思っていたのに。
こんなにわくわくしているのは久しぶりだ。Johanは数十メートルだけラインを張ってくれていた。うわぁー、本当はもっと先までいきたいっ。

ラインの終わりまで泳いで、その後は入り口に向かって泳ぐ。
入り口の青が少しずつ大きくなっていく。ビデオをまわしながら、私は自分自身の目でそれを見たくて、何度かビデオを止めた。
映像としてはいいものにならないことを覚悟しながら。それでも、私は自分の目でその美しさを見たかった。

入り口に近づくにつれて、青はどんどん大きくなる。
そして最後には、その青が私を飲み込んだ。
ケーブの外。

まるで数分間の短い夢を見ていたような陶酔感を感じる。

この後どうする?って聞くJohanにもうひとつのケーブに行きたいと頼む。

2本目のケーブも1本目と同じくらい素敵だった。

どうして今までJohanに誘われたときに一緒にダイビングに行かなかったんだろう。そうしたら、もう何本か一緒にもぐれたかもしれないのに。

Johanはすごくいいインストラクターでもある。
ダイブの後、ボートに戻って、まずJohanが言ったのは、「君はケーブの中でとても落ち着いていたね。本当にいいダイバーだ。君の精神力はものすごく強い。君とまた一緒に潜れたらいいな。」
過呼吸の問題のある私にとって、これ以上うれしい言葉があるだろうか。
それよりも、私のほうが、もう一度一緒に潜らせてください、って頼まなくちゃいけない。

いつかまた、必ず、事前の不安も恐怖もなしに潜りたい。できたらJohanと一緒に。
また、いつか、過呼吸の問題なしに深さにも、流れにも対応できるときがくるんだろうか。きっと来るはず。今でも少しずつ問題なくなってきてるんだから。

急いだりしないけど、あせったりしないけど、ゆっくり、私が前に楽しむことのできた強い流れや、深さにいつか戻ることができるといい。
これはちょっと中毒かも・・・。まぁ、だから飽き性の私でもダイビング続けてるんだけど・・・。

次回はいつになるんだろう。
Johanには本当にお礼が言いたい。

その日と翌日をかけて作ったビデオは、とてもいいものになって、Johanはとても喜んでくれた。

2009/02/11

Fransiscoが帰る














明日、スタッフのFransiscoがピピから出る。
って言ってもどうせ来シーズンも戻ってきそうだけど。

Franは私が面倒を見た生徒のうちの一人。
うるさいし、めんどくさがりやだし、遅刻するし、何するのにも時間がかかって、手のかかるやつなんだけど、まぁかわいい。
時々、さすがフランスに住むベネズエラ人・・・って思うようなこともしでかす。

DMのコースが終わったときには、やつはこの先どうなってしまうんだろう、ってすごく不安だったけど、今見ると、いいインストラクターになったなぁ、と思う。

「水中ではしっかり働くけど、水からでたらいい加減でいい、って、僕は僕のインストラクターに習った。」って、明言してる。
私を指差しながら、生徒にむかって・・・。
そんなことを教えた覚えはなーーーーぁい。お前は最初からそういうやつだったんだよーーー。
                  





シャイなくせに大声で一人で歌ってたり、英語もアクセント強すぎて何言ってるかわかんないときもあるし、ねぇねぇって何にもないときに擦り寄ってきたり、そんななのに、バーの参加型のキックボクシングに参加して、5発で相手をKOしちゃって、しかも自分は触られてもなかったり・・・。
ひどく癖のあるFranだけど、私のかわいい子であることには間違いがない。

こうやって、きっと来シーズンも帰ってくるでしょ、なんていってて、もう二度と会えないなんてことも、実はある。
来シーズン、Franがいなかったら、きっと店はちょっと寂しいはず。というか、静かになっていいのかもしれないけど・・・。そこはビミョウ。

こうやってやつのことを書いているそばから、遠くで歌ってる声が聞こえる。
間違うとセリーヌ・ディオンなんかも歌ってるんだけど、歌詞は不明。もしかしたらスペイン語かも。

来シーズンも帰ってきてね、Francisco。

ハナヒゲウツボ














ビダにハナヒゲウツボがいるって聞いて、今日行ってきた。
まだ黒い子だけど、もう背中にしっかり黄色い線が入ってる。

私は最近あんまり深いところに行かなくて、時々何かいると12Mくらいまで降りる程度。でも今日はこのハナヒゲちゃんのためにしっかり降りました。

いるって聞いてたところに深いほうから近寄っていくと・・・。
いたぁー。
水底から20センチくらいは伸びだしてる。
どうして彼らは体をまっすぐにして穴から伸びるように体を出してるんだろう。ゆるりと出ればいいのに。
なんてことはどうでもよくて、私はピピで始めてのハナヒゲウツボにちょっとドキドキ。

そこではっと下を見ると、モンハナシャコがいる。
ビデオを持っているんだから、そりゃ、さっさと逃げちゃって隠れちゃうモンハナシャコを先に撮らなくちゃいけない。
あっちから、こっちから、もう一回あっちから。
よし、次。お目当てのハナヒゲちゃん。
と、思ったら、さっきまで彼がノビノビしてた所には何もいない。私がモンハナシャコに浮気している間に穴に隠れちゃったらしい。














そこへ、トヨさんのグループが・・・。この辺にいるはず・・・って雰囲気で近寄ってくる。
「アナニ、カクレチャッタ」って、サインをすると、察しのいいトヨさんはOKサインを出してさっさと行ってしまった。

で、振り返ると、出てる。
ごめーーーーん、トヨさーーーん。
出てた。

早速ビデオをまわし始める。ポジションを確保して・・・、体を固定して・・・。なんてしてたら、ChampやJessicaたちのグループもわらわらやってきて・・・。
気がついたら周りは巻き上げられた砂でもこもこ。

こらーーーーーっ。
そんなに巻き上げたら、ビデオまわすのに、また水がクリアになるまで待ってなくちゃいけないでしょーーーっ。

散々待って、やっとビデオを撮りました。

やっぱり初めて撮るものがあると、ちょっとうれしい。
しかも今日はタツノオトシゴもわりときれいに撮れた。

今日はダイブ2本ともビダで、しかも人も少なくて、すごく楽しかった。
でもそういえば、新しくDMTとして入ったTomasoに録画中にフィンでけられた。今日は彼にはお仕置きが待っている・・・。

2009/02/07

Wolleがダイビングに行った

なんと1年ぶりに、Wolleがダイビングに行った。
いつも朝早いからとか何とか言って腰が重いのに、ドイツからの友達のHeinrichが体験ダイブに行きたいって言ったらすぐについてきた。

やっぱり友達と潜るのはすごく楽しかったみたいで、夜までずっとご機嫌さんだった。

でも、Heinrichがボートに戻った後は、私のオクトパスをくわえてついて来てた。
私のフィルミングの邪魔にならないように、気をつけてくれたのか、もともとオクトパスって長いから関係ないのか、それほどお邪魔虫にならずに最後まで潜ってた。

こんな風に時々来てくれるといいなぁ。