2017/06/20

珍しい絵本

今年、ドイツの家の辺りではドイツ語のコースのシステムが少し変わって、コース期間が短くなったりしてるらしい。
らしい、というのは今年はまたしてもコースに参加してないから。
一応私が受けたいコースを探してはみたけれど、どこの学校もB2という私のレベルのクラスは予定はしていてもなかなか始まらない。要は人数が集まらないらしい。必要不可欠以上のコースだから仕方がないとはいえ、hmmmm・・・・。

ということで、今年は自習。 友達にもらった簡単な本や、絵本を丁寧にそして繰り返し読む。これが読解の練習。そして、どんな集まりでもパーティでもめんどくさがらずに出かける。これが聞き取りと会話の練習。そして、できるだけドイツ語で友達とメッセージのやり取りをする。これが作文の練習。
お、こう書き並べてみると、どれもうまくいってそうに見える。・・・見えるだけかもしれないけど。

最初に読み始めた絵本は、今では仲の良い友達で、かつて私のドイツ語クラスの先生だった女性からもらった本だった。彼女は個人的に日本語を勉強している。ということで、週に一回、今週は日本語、次の週はドイツ語と、毎週タンデムというシステムでプライベートレッスンのようなことをしている・・・・いつの間にかほとんどがただのおしゃべりになってることもあるけど。彼女は私のドイツ語レベルを教師の目で理解しているだけあって、的確に私のレベルにあった絵本で、しかも内容も面白いものを選んでくれた。

彼女の本で味を占めた私は、身近な人に聞いて歩いた。「ねぇねぇ、子供たちがもう読まないような絵本うちに残ってない?」
山のようにあるという人から全部捨てたという人まで様々である。そして、今では数冊の本が私の手元に集まってきている。すぐに読み切れてしまうわけではないので 数冊もあれば十分でもある。しかも、こういっては申し訳ないけれど、これは読む価値がないな、なんて思うものもある。


学習用に書かれているわけではないので、使われている単語の種類が、ドイツ人の10歳の女の子用くらいだったりすると、辞書に載っていないかわいらしい単語ばかりが出てきたりする。日本語で言ったら「にゃおにゃお」とか、「でぶっちょ」とかそんな単語だ。
こういう単語は外国人のドイツ語学習者にはむしろ最上級単語だ。


そんな中で1冊。義母が貸してくれた絵本。Wolleと義兄が小さなころに読んだ本らしい。


 Peter und der Büffel Boni「ペーターと子牛のボニー」。こんなタイトルだ。挿絵もザクッとした絵でなかなか。
この表紙から察するにPeterという男の子と子牛の話であろう、と想像しながら読み始めた。
1ページ目。
ペーターがどれくらい良い子なのかが説明されている。ふむふむ、なるほど、絵にかいたような模範的な男の子だ。
このページでちょっと毛色の変わった単語が出てくる。Genossenschaft(組合)、Genosse(党員)など、旧東ドイツの頃頻繁に使われていたけれど、今では全く耳にしない言葉。
私の住むこの地域は1989年までは東ドイツだった。当然子供が読む本も時代背景は共産圏だ。

まぁ、これらの単語は覚えなくてもいいし、この場で内容がわかればいい。
そして、読み進める。
水牛の子供ボニーも出てくる。ペーターと仲良しの子牛だ。・・・友達がでてきて・・・インディアンごっこが始まって・・・。
あれあれ、ポケットに入っていたマッチを遊びに使って、火を出してしまった。
農家の庭で出た火はみるみる広がって、大火事になってしまう。

ここからがなぜか。なぜか一向に話が進まない。
村の大人が気が付いて、消防隊が出て、大火事だからベルリンからも応援がくる。

全部でたったの28ページしかない絵本のうち、14ページがこの消防について書かれている。正直言って、このあたり、途中で嫌になってきた。なんだか、やたらと火事が大きいことと、システムについて説明している。
まぁでも、もうちょっと、と思って読み進める。
出火の原因になったペーターたちは、農家に隠れてしまっているが、火元を探す専門家の党員に見つけられる。そして、さんざん絞られる。
その党員がいう。「こんなことをして、君のお父さんとお母さんは牢屋に入らなくちゃいけないよ」
??ええ??決して褒められたことではないけれど、子供の遊びが原因の出火で両親が刑務所?いくらなんでもそりゃないでしょ。それともそういうシステムだったのかな。


さんざん党員に絞られ切ったペーターは家に帰る。そして納屋をのぞくと、ボニーがいつもいるところは丸焦げになっていましたとさ。
おしまい。

ええええーーーー‼‼‼‼????
これでおしまい??ここがおしまい??こんなおしまい??
なんなんだ、この絵本は。なんかちょっと夢とか希望とか救いの手とかないの?

しかも、後から友達に、火事の原因になった子供の親が刑務所行きかどうか聞いてみると、そんなはずはないという話。
じゃぁ、あの党員は、ペーターを脅すために嘘をついたことになる。

正直言って、この絵本が子供にとっていい絵本だとは、お世辞にも言えない。
頑張って弁護すれば、火遊びの危険性を教えてるのかもしれない。消防のシステムについて教えているのかもしれない。それはきっと二つとも大切なことだと思う。
でも・・・。

読み終わった日、仕事から戻ったWolleにさんざん訴えた。
何よこの本。夢もない。救いもない。大人が嘘をついて子供を嚇す??どういう絵本なのよ、これ。
するとWolleはけろりと言った。
だってこの本、旧東ドイツの本だよ。子供が読む本は共産党員が選ぶ厳しい教育的なものしかなかったんだ。夢なんてないよ。この本の最後でボニーが生きていたら、火遊びをしても大切なものはなくならないよ、大丈夫だよ、っていうメッセージになっちゃうじゃないか。ここまで教育一片で書かれてるのに。
楽しい絵本なんて存在しなかったんだよ。

なんと。驚いて言葉もない。
楽しい絵本は存在しない?絵本は楽しむためにあるんじゃなかったっけ?直接言葉で書かれていなくても、温かいものや優しい心があふれるようなものが絵本っていうものじゃなかったっけ?
グリム童話などの怖い話は現代の時代背景とは異なる。だからどれも現代風に書き換えられているではないか。

 いやはや、こんな絵本が存在したとは。こんな絵本がうちの地下に眠っていたとは。気軽に手にした絵本がこんな内容だとは。
ひとしきり驚いた後思った。
私が小さなころから読んできた絵本はなんと夢のあるものだったんだろうか。なんとあったかいメッセージにあふれていたことだろうか。
小さなころにこういう絵本しか読んだことのないWolleが読書家でない理由もうなずける。そして、こんな絵本を読んでいてすら、優しい人に成長していることをとてもうれしく思う。
いくら絵本で教育しようとしても、子供の心はちゃんと人間の正しくあるべき方向を嗅ぎ取って大人になるんだなぁ、と思う。

この絵本は私にひどく衝撃を与えたけれど、こういう絵本がある、あるいはあったということを知って現代の絵本の大切さを改めて考えさせられた。
意味のないように見える現代の稚拙な絵本でも、楽しいだけで十分じゃないか。

今回はある意味でいい本を読みました。



2017/06/05

ちょっと特別バーベキュー

この週末にちょっと面白いバーベキューをした。
ちょっと長くなるけど、その方法を順を追って書こうかと思う。

ドイツの祝日にOstern(オスターン)という日がある。英語で言うイースターで、日本語で言うと復活祭。この祝日は毎年違う日である。ドイツ人の友達に聞くと「Papst(ローマ法王)が決めるんだよ」とのことだが、実際には「春分後の最初の満月の後の日曜日」ということである。
そしてそのOsternから7週目の日曜日がこれまた祝日。Pfingsten(フィングステン)、日本語で言うと聖霊降臨祭。これらの祝日は日本にはなく、キリスト教のものなので、日本人の私にはなじみもないしピンとも来ない。
が、祝日は祝日。
Osternには毎年キリスト教の慣例とは全く違う大きなパーティをWolleが仲間内で開催する。20年以上も毎年開いているこのパーティは、いつの間にか100人を超える友達が集まる大きなものになっている。

そして、Pfingstenはというと。
この日は初夏の祝日。そして、次の祝日は10月までない。そんな理由が重なって、みんなそれぞれ計画を立てる。その計画はたいていアウトドア。
春の雰囲気から夏の気温になっているこの時期。春までは寒すぎて外で遊ぶことが少ないこのドイツ。 気持ちのいい気候の週末に、なぜ屋内にこもっていられようか。

私の周りでも、ひとグループはバルト海に25人でキャンプ・・・まるで山の生活ならぬ海の生活だ。ひとグループはエルベ川を各々のボートやカヤックで下る。
そして私たちは、湖の近くに週末を過ごすための場所を持っている友達のところへ集まった。湖の近くということでボート遊びもできるし、庭でバーベキューをしたり、たき火をしながらおしゃべりをしたりする。

今年のバーベキューは特別だった。
Wolleの幼なじみのRatziが用意した特別メニューはラム(子羊)の土中グリルとでも言おうか。穴を掘り、火を焚いて、その上に手ごろな大きさの石をのせ、熱した石の熱で肉を熱する。一言で説明しようと思ってもうまく言えない。
これはRatziが働いているノルウェイで時々されるバーベキューの方法らしい。
名前は・・・ノルウェイ語でRatziが教えてくれたけど、発音もよくできないし意味も分からないので忘れてしまった。日本語で言うと石焼バーベキュー・・・かな・・・なんか違うな。

今回のお肉はラム(子羊)のモモ。何か味をつけてあるわけではなく、生のままのお肉。
これが何人分かと聞かれると困るけど、大人7-8人は楽に食べられるんじゃないかと思う。
お肉の大きさは違ってくるけど、例えば豚のモモや丸ごとの豚でもできるとのこと。ただし、脂の量が違うため熱する時間が変わってくる。



必要なのは薪、片手で持てるくらいの大きさの石をたくさん。石は、できたら同じ種類の石がいい。熱の回りが均等になる。コンクリートの破片や煉瓦はだめだそうである。


まずは庭の一角に穴を掘る。


 穴の中で火を起こし、薪を入れて火を焚く。




薪が炭になるくらいまで熱を上げる。

 薪を燃やしている間にお肉にアルミホイルを何重にも巻き付ける。今回使ったのはおそらく10-15m分くらいのアルミホイル。包帯を巻くようにぐるぐると。



 薪がしっかり燃えて赤くなったころ、集めた石を熱くなった薪の上に並べていく。もちろん炎は石の間から出てくる。




数十分後、石の下部が赤くあるいは白くなり、しっかりと熱せられた。この時、石の熱が足りないとお肉が焼けないので、焦らずにしっかり熱する。
これを今度は半分くらい取り出す。


 ここで必要なのは厚手の手袋とバケツにはった水。熱せられた石はとても熱いので手袋をしていても時々手袋をはずし、水に手を突っ込んで冷やす。


取り出す石は全体の個数の半分ほど。お肉の下に敷かれる石はそのまま残す。
ここでアルミホイルを数枚適当な長さに切っておく。

 先ほど取り出さずに残しておいた石の上に、アルミホイルに包んだお肉を置く。

 お肉を覆うように、先ほど取り出した熱せられた石を乗せていく。お肉に巻いたアルミホイルがほとんど見えなくなる。
この時、石をお肉の表面に均等に置く。そうでないと出来上がったときに、お肉の表面にむらができる。


 そして今度はその石の山を、先ほど切ったアルミホイルで覆っていく。この上から土をかぶせるので、石の間に土が入り込まないように。

 そこに今度はアルミホイルの上から土をかぶせていく。

 煙が出てくるような隙間がないようにしっかりと土をかぶせる。



 この状態で約1時間20分。この時間はお肉の大きさによって多少異なる。
数十分経った頃には、何となく何かが焼けているようなにおいが漂ってくる。お肉が焼けているにおいとはちょっと違う。ちょっと土臭いにおい。



 少しずつ土を払いのけて、石の上にかぶせたアルミホイルも取り除く。

 そして、石を乗せた時のように手袋をして、石を取り除く。この時もまだまだ石は焼けるように熱いので注意。


 できあがり!!

 お肉に巻いてあるアルミホイルをはがす。
今回はお肉を覆った石の温度に差があったようで、表面の色にむらがある。濃い色になったところのほうがおいしそうに見えるけど、どこも中までちゃんと火が通ってる。
今回こうなってしまった理由は、適当にそこらにあった石を集めたので、石の種類がまちまちで、熱の通りが各石によって違ったためかと思われる。


 これをそぐようにして切っていく。


 お皿に取り置いたお肉は、味付けをしていないので、食べるときに各自好みで塩コショウをする。


出来上がったお肉に飛びついてしまって写真を撮るのを忘れたけれど。
骨に近い部分で、お肉がそぎ取れずに残ってしまった、あるいは、もう少し火を通したい部分が残った場合、また同じようにアルミホイルで巻いて、さっきまで使っていた石を再度使って焼き直す。まだまだ石は熱いので、少し時間をかければ骨の部分までしっかりと焼ける。

もしも味付けをしたい場合には、焼きあがったお肉に味付けをする。例えば、パスタでも使うペスト、あるいはオリーブオイルとハーブなど。これは好みによるけれど、ラムのお肉は塩コショウが一番おいしいような気もする。

そんなこんなのちょっと珍し目のバーベキュー。
時間と手間は少しかかるけど、大勢で楽しむのにはうってつけのメニューだった。
次回はうちで…。

今年の冬のダイビング その6 ~ボラカイ島・フィリピン~

12月に1ヵ月フィリピンにいたというのに、また日本に帰る前にもフィリピンのボラカイ島に寄った。Wolle曰くバリからの帰り道にボラカイ島があるから。・・・そうだろうか。

とは言え、フィリピンに行くと決まった時から、ボラカイ島にはいくつもりだった私。9年前ダイブマスターコースを教えたCiscoが働いているから。かつてYaskoのしっぽと呼ばれていた彼も、もちろん今ではインストラクター。

フランスに籍をおくベネズエラ人のCiscoはスペイン語、フランス語、そして変な英語を自在に操り次々に店頭で旅行者を引き留め、そして逃げられている。ブロンドに目のない彼は、ブロンドの女の子には特にしつこく・・・もとい、念入りに説明をする。ビーチを歩いて20分しかかからない店からの帰り道に数時間かかるくらい友達が多く、そしてよくしゃべる。話すことがないと歌を歌う。その辺でかかっている音楽に合わせて踊りだす。いや、さすがラテン。腰を一ひねりしただけで音楽が彼の体にまとわりつくかのようだ。彼の隣でアジア人が一緒に踊ろうものなら、それがまるでエアロビクスの練習のように見えてしまう。そしてそれなのに、騒々しくない。

私が彼に会いたかった理由。3か月以上も毎日私の後ろをトレーニングのために泳ぎ続けた彼のガイドで一緒に潜りたかった理由。
3か月ほどのダイブマスターコースを終え、初めてCiscoが自分のお客さんを連れてガイドした日。ボート上のスタッフ同士でダイブサイトを決定した時、Ciscoはきょろりと聞いた。
「ねぇ、このサイトでサメはどこにいるの」
スタッフ一同沈黙。このダイブサイトはメインの見ものがサメの人気サイトだ。Ciscoだって少なくとも10本や20本は潜っているはず。
「お前何今頃いってんだよ」
「どうしてそんなこと知らないんだよ」
「いつも何見て泳いでたんだよ」
「誰だよ、こいつにサインしたの」・・・いたたたっ!
さんざんである。さらに誰も相手にしてくれない。
私は聞いてみた。ねぇ、どうしてサメのいる場所わからないの。今まで何本も潜っているでしょ、ここ。すると、予想もしなかった答えが返ってきた。
「僕はインストラクターに言われた通り生徒とインストラクターばかり見ていたんだ。だって、Yaskoもそう指示したでしょ?このサイトでサメを生徒に見せるときにはサメじゃなくて生徒の浮き沈みを常に見てろ、って。僕はこのサイトでまだサメを見たことがない」
ほほぅ。そうか。なるほど。その通りだ。私が指示したんだ、よそ見するな、って。そりゃ、Ciscoがサメのいる場所を知らないのは私の責任でもあるのか。 じゃぁ、教えてあげないとね。そうかそうか、そんなにまじめだったんだ、Cisco。
いつもへらへらとお気楽そうに見える彼の恐ろしくまじめな部分を見た気がする、これが一つ目の理由。
そしてもう一つ。
Ciscoがインストラクターになったばかりの頃。
その日私はビデオカメラを持って仕事をしていた。朝ダイバーが店を出発するところから帰ってくるところまでを陸、水中ともに撮影し、編集し、夕方お客さんに見てもらって買ってもらうという仕事だ。この仕事の時は、お客さんが私を追いかけるんじゃなくて、私がお客さんのグループを追いかけることになる。
Ciscoのグループの潜降を撮るために一足先に水底へ降りる。・・・と、 生徒さんが膝立ちで着底する予定の砂地にDevil Scorpionfish(サツマカサゴ)が擬態して座ってるではないか。このカサゴ、ひれに猛毒を持つ。刺されるとひどい痛みを伴う高熱が出る。
頭上を見ると、すでにCiscoは片手に一人ずつ生徒さんを掴んで潜降を開始している。慌ててサインを出す。ここにDevil Scorpionいるよ!
するとCiscoは目で頷いただけでそのまま潜降。そして、驚いたことに、今まで私たちインストラクターがみせたこともないポジションでスキルの練習を開始した。ダイバーが水中でとることはほとんどないポジション、水底に立ったまま着底。そう、陸にいるときのように立った姿勢でスキルの練習を始めたのだ。ちなみに、膝立ちの着底のほうが確実に安定するので、一般には膝立ちでスキルを行う。
てっきり隣の砂地に移動するかと思った。でも予定もしていないのに緊張している生徒さんを泳がせるのはかわいそうだし、大仕事だ。それを臨機応変にいともたやすくポジション変更だけで、慌てるほどの状況をクリアしてしまった。しかも説明してある予定の変更を生徒さんに自然に伝えて。そして、絶対にしてはいけないことのひとつ、インストラクターが慌てることなく。
この時、他の人がなんと言おうがCiscoがどれほどいいインストラクターなのか見た思いだった。そして彼から大いに学んだ。
私もそうだったように、ほかのインストラクターたちもCiscoのことを頑固だけどお気楽で面白くて元気な男、くらいに思っていたんじゃないだろうか。今でも思ってるかもしれない。あるいは私と同じように彼の意外な一面を見せてもらって、私のように思うようになったのだろうか。
Cisco大好き‼‼‼ って。

こんな彼がフィリピンで働いていて、フィリピンをうろつく私が立ち寄らないほうはない。


彼は私の好みのダイビングに合わせて、潮とダイブサイトを選んでくれた。私としてはほかの生徒さんと一緒にCiscoにくっついていくんでもよかったんだけど、どうしても二人で行きたかったようだ。
たった1本しか行けなかったけれど、彼が選んでくれたダイブは文句なしに私の好みだった。
流れなしの小物ダイブ。
このダイブ。もちろん水中も楽しかったけれど、ちょっと特別なダイブだった。最大深度(そのダイブで一番深かった深度 )12m弱。水温25度に2,5㎜のウェットスーツで84分。



インストラクター同士でダイブするとエアの消費をそれほど気にしないで済むのでたいていは深く行きたがる。それが体験ダイバーでも行く12m弱。
そして、25度の水温。この水温では一般的に最低5㎜のウェットスーツを着る。それが2.5㎜。
浅瀬でのダイブなので上級者ダイバーならエアの残量を気にせずいつまでもいられる。ということで84分も水中にいた。これは一般的なダイブの2倍くらいの長さだ。

透明度は15-20m。 リーフはいたって健康的。今日はCiscoも半分遊びのダイブなのでカメラを持っている。

そして私が普段よく潜る海域とは違うので、水中生物の種類も違うものが多い。


 上の左の生物。ホヤの仲間だろうか。色がきれいに出ていない写真だけど、緑の濃淡がきれいだった。
そして右の生物。なんだろう。これは写真よりも映像のほうがよくわかるかもしれない。群生する習慣のナマコかな。

ずっとこんな風に動いてるんだろうか。それとも夜は違う姿をしてるのかな。

そして下の写真の青色の生物はホヤの仲間。そしてよく見ると、ホヤの上のほうに小さな白い粒がたくさん見える。これは実際にはもやもやと動いている。小さすぎるのでほとんどのダイバーには見えないし、気にもしないけれど、小さな小さな稚魚。健康的なリーフで潜っていると、実はよく見かける。小さすぎてなんの稚魚なのかわからないけれど、これがいるということは、近い将来何かの魚の群れが見られるということ。
 84分も水中で私が夢中になっていたものの一つ。
エビ。
小さなものだと数㎜。住んでいる場所と特徴を知らないと、指をさして見せてもらってもなかなか見えないものもいる。そんな小さくてカラフルなエビたちがこのリーフにはそこら中にいた。
なるほど。これがCiscoがこのダイブサイトを選んだ理由だ、きっと。

下の写真。一見なんだかわからないという人がたくさんいると思う。

 上の写真の中央を拡大すると、下の写真になる。
ただ、私のカメラはマクロに非常に弱いため、上の写真くらいしか撮れない。
 しかもエビたちはサンゴの内側に隠れ、ちょこちょこと動くので、84分も水中にいたにもかかわらず、たったの数枚しかちゃんとした写真はない…。

 これは私が写真を撮っているところをCiscoが撮ってくれた写真。
ダイブをしない人から見るととんでもないポジションに見えるかもしれないけれど、器材でリーフを傷つけずに生物を見るためにひっくり返ってるだけで、これは自分でコントロールしてます。 でも・・・もう少しましなポジションの写真でもよかったよ、Cisco・・・。


84分はあっという間だった。Ciscoは私にぴったりくっついているわけではなく、視界から消えない程度のところで自分も写真を撮っている。そして、私がきょろきょろしだすと、大体のコースをガイドしてくれる。
友達同士で潜ると、勝手に泳ぎながら面白いものを見つけると共有するというとても面白いダイブになる。この日ももちろんそんなダイブだった。

ガイドありがとう、Cisco。