2013/02/26

私の体重計

季節によって体重が著しく増減するようになってから久しい。
シーズンはじめ、ピピ島に入るときと、6ヵ月後に出るときには最低6キロの差がある。

夏にドイツにいる間、寒いせいもあってか、徐々に体重が増える。それにくわえて、日本にいるときには日本食を好きなだけ食べてる。
しかも日本でもドイツでも体を動かす機会は皆無に等しい。

ピピ島でシーズンはじめにダイビングに行くとき、ウェットスーツにおなかとおしりを押し込むのに苦労する。陸の一夜rも早くウェットスーツを着始めないと、みんながボートから飛び込むころにやっとウェットスーツが着れる、なんていうほど。

その体重、島で日を重ねるごとに減っていく。
普段しない運動をしているせいと、タイ料理の腹持ちが悪いせいと、バンガローに帰るのに毎日130段もある階段を往復するせい・・・かな。

仲のいい友達に、Floという人がいる。
見上げるほど体の大きな彼は、しょっちゅう私を持ち上げる。
まぁ、彼の体の大きさを思えば私なんておもちゃみたいなサイズだろうし、抱っこするって言うよりも、高いたかいをしてくれていると思えばわかりやすいかもしれない。

頻繁に私を持ち上げている彼には、私の体重がどれくらい落ちたのかわかるらしい。
数日前、「ずいぶん体重落ちたな。ここ数週間で3,4キロは落ちてるだろう。」だって。

しかもまさにその通り。
ちょっと体重が減りすぎたな、と思って、ここ数日一生懸命食べているところ。

今シーズンはどういうわけか、いつもより体重の減りが早かった。
大体、45キロを切ると、疲れやすくなってしまうので、できるだけ自分のベスト体重の47キロを切らないように気をつけてはいる。
でも、体重の増減って、食べる時期と食べない時期があっても、2週間くらいの時差がでる。

減り続けていることに気づかないで同じペースを続けていると、気がついたら減りすぎてた、なんてことが起こる。
今回もそのパターンかなぁ。

脂肪が減って筋肉がつくのに、それでも体重が減ると、次第にズボンやスカートが下がってくる。
今はショートパンツの腰のおしり側を一まくりしている状態。じゃないと、ただでさえ薄っぺらいおしりの半分より下までパンツが落ちてきてしまう。
これは非常にかっこ悪い。

自分でわざわざ体重なんて量らないから、Floに時々量ってもらうのがわかりやすい。
というよりも、この島で体重計なんて、一箇所コインを入れて使う体重計と、ひとつ病院にあるくらいなものだ。

と、いうわけで、ピピ島での私の体重計Flo。
かなり正確です。

2013/02/12

ピピ島の病院

以前からピピ島にはPhi Phi Hospitalという病院がある。
まだ今ほど島に旅行者がいなかったころはその病院が頼りだった・・・けど、実際にはドクターがクラビに戻っていたり、誰もいなかったり、と、なんとなく頼りない存在だった。

だから、私はなにかあると、病院ではなく、しっかり話を聞いてくれる薬剤師さんのところへ行っていた。

そうこうしているうちに、島に数件のクリニックができた。
島に長くいる人は、旅行者の人に「クリニックのほうがいいよ」なんて薦めたりもしていた。

ところが先日、体中に発心ができ、何が理由かわからないのでかの薬剤師さんのところへ行った。すると。
「これはもしかしたらデング熱かもしれないから、そのチェックをしに病院に行ったほうがいいね」とのこと。
プーケットまでいくのか~、なんて思っていたら、その薬剤師さんが一言。
「今はここの病院も政府が管理しているからしっかりしてるよ。しかもほかのクリニックよりも安い。」

なになに??
以前はドクターと握手するだけで500バーツ取られる、なんていうジョークがあったけど、もうそうじゃなくなったのかな。

早速病院に行ってみる。

確かに中も昔とはずいぶん変わって、受付まである。しかも診察券まで作ってくれた。
症状を聞かれて、ドクターと会う。
血液検査と、デング熱を判断する血圧検査で、結果は、デング熱ではないけど何かのウイルスのせい、と。


今までぜんぜん信用してなかったピピの病院。
結果的に値段も以前からは想像できないほど安く、ドクターもちゃんと説明もしてくれた。

これからは旅行者の人にもおススメできそう。
 

PADI Sidemount course~サイドマウント・コース~


毎シーズンPhilに何らかのコースを教えてもらってる。

基本的なことのリフレッシュ、新しいスキルもつく、そして何より自分の楽しみのため。あ、もうひとつ。Philと取るコースはどれも楽しい。

 

今年最初に取ったのはSidemount(サイドマウント)という比較的新しいコース。
去年Philが自分でそれを使ってみてからずっと、一緒にサイドマウントで潜ろう、って言い続けて、やっと・・・。

 

今ではアドバンスコースの1本としても選ぶことができるようになっているサイドマウント。

新しいスキルならなおさら興味津々だ。

しかも使ったことのない器材。

 

 

さて、サイドマウントがいったい何なのか、っていうと。

私たちが普段しているレクリエーショナルダイビングでは、従来タンクと、BCDという浮力調節器具、それにタンクから私たちダイバーに空気を供給するレギュレーターを組み立てて、ジャケットのような形になっているBCDを着るというのが一般的な器材だ。

自然タンクは私たちの背中に背負っている形になる。

 

それがサイドマウントでは、タンクを背中側ではなく、体の側面、あるいは前面に持ってくる。



 

 

 
側面にタンクを持つ場合には、もちろんバランスをとるために左右に1本ずつ。1本だけで潜るなら体の前面に斜めに持つ。

従来のBCDではタンクをBCD背面のベルトで固定していた。が、サイドマウントでは、タンクをクリップでBCDのDリング(アルファベットのDの形をしたメタルのリング。BCDに何かを固定するためについている)につるす。

クリップはタンクのバルブ部分(首元)と下部にひとつずつつけてある。バルブ部分のクリップをBCDの胸あたり、下部のクリップをBCDの背面下部についている金具に取り付ける。

レギュレーター(空気を供給する器材)は各タンクについており、右のタンクにはSPG(残圧計・タンクの中の空気の残量を示すゲージ)とテクニカルダイビングで使用するホースが2メートルのセカンドステージ(くわえて空気を吸うところ)が取り付けてある。

左のタンクには、これもまたSPG。そして普通の長さのセカンドステージがついている。

 

2本持って潜る場合、この2本をBCDに引っ掛けずにタンクのバルブ部分を手で持ってボートから水面に飛び込む。もちろん自分だけ先の飛び込んで、ボートからタンクを降ろしてもらってもかまわない。

自分が水面に飛び込んでからタンクを下ろしてもらえば、ボートの上で重いタンクをよっこいしょと運ぶ面倒も省ける。

 

水面から潜降する前に胸部と背面下部にタンクを取り付ける。そして、飛び込むときにくわえている右タンクからのセカンドステージをいったんはずし、左タンクのセカンドステージを首に掛けてあるバンジー(口からセカンドステージが外れてしまっても首元から離れないように取り付けるためのゴム製でチューブ状のネックレスのようなもの。通常テクニカルダイビングに使用するアクセサリー)に取り付ける。

その上からロングホースのセカンドステージを首の左側から背面を通して右からくわえる。

 

この、水面での作業がこのコースで一番ややこしい部分。

左右のセカンドステージを前後逆につけてしまうと、今度は水中でややこしいことになる。

 

さてこれで準備完了。

 

サイドマウントで使うBCDは、もちろんそれ専用のものもあるけれど、私が使ったのはテクニカルダイビングでツインセット(背中に2本のタンクを背負うために固定されたタンクのセット)も取り付けられるウィング(浮力を調節するときに背面にだけ空気が入るようになっているBCDの通称)。

ツインセットを背負うときのメタルボードははずしてあるけれど、それでも通常のレクリエーショナルダイビングのBCDよりはるかに重い。

そのためこれらの器材を使うときにはウェイトは必要ない。
私がよじ登れそうなくらい大きな人たちでもウェイトなしで潜るのだから、私にとってはエクストラのウェイトを数キロ持っているのと同じようなもの。
もちろん気をつけていなければ、潜降が岩を落としたようになってしまう。
ただ、この型のウィングは、一般のBCDと比べて浮力があるので、数キロ重さが余分なだけなら調節しだいですごく快適にはなる。

私のレクリエーショナルダイビング用のBCDもウィングだけど、このテクニカルダイビング用のウィングに比べると、じれったいほどバランスがとりにくい。


この写真はちなみに私ではありません。
カバーンコースを取ったときのバディTom。
水中で泳いでるときにはこんな状態になる。


さて、水中でのスキル。
このコースは通常のレクリエーショナルダイビングとは違う器材を使う、というところに重点があるので、それほど水中スキルの練習はない。

ひとつはレギュレーターがフリーフロー(レギュレーターが壊れて、タンクの空気が勢いよくセカンドステージから噴出す状態)した場合の対処方法。
これはテクニカルダイビングのコースでも最初に練習することだけれど、要はフリーフローしているレギュレーターが取り付けてあるタンクのバルブを閉めればいいだけ。
ただ、問題になるのはこれが突然起こると、今自分がくわえているセカンドステージがどっちのタンクからのもので、フリーフローしているのがどっちのタンクなのか一瞬混乱すること。
ただ、そのときに一瞬だけ落ち着けばすぐにわかること。

もうひとつのスキル。
サイドマウントでは自分の両脇の下にタンクをさげることになるので、どうしても全体の形が横に張り出すようになる。
たとえばこの状態で、カバーンやケーブに入った場合、狭くて通れないところが出てくる。
それを回避するために、泳ぎながら背面下部のクリップをはずし、タンクを2本とも自分の前に持ってきて泳ぐ。
その練習。

こんな風に。
こうすれば、人の体が通れるところなら基本的には通り抜けられる。

このスキル。
腕に少し力は要るけれど、簡単なもの。しかも、動かすときが少し面白い。なんだか自分が器材の一部になったような気がする。

そしてもうひとつ。
両脇にあるタンクの重さに差が出ると、体がどちらかに傾く。
そのために、一定の空気を吸ったとき、もうひとつのタンクのレギュレーターにくわえなおし、左右のバランスをとる。
最初に使っていた、左タンクから出ているロングホースのセカンドステージは使わないときには右胸のDリングにクリップで留めておく。


このサイドマウントコース。
器材やスキルが少しだけテクニカルダイビングと似たところがある。
そして新しいコースだということで、今シーズンうちの店では大人気。
もちろんテクニカルダイビングのコースとあわせてとることもできる。従来のツインタンクを背負ってのテクニカルダイビングよりも、器材の取り扱いや、組み立ても楽なことから、これからどんどん増えていくと思われる。

サイドマウントを始めて使った感想といえば、やっぱり最初の数十分はバランスが取れなくて不安定だった、ということ。
レクリエーショナルダイビングの体験ダイバーもきっと同じことを感じてるんだろうな、なんて思いながら水中にいた。
ただし安定してしまえば、2本で両脇から支えられていることにもなる。


最後に私自身の写真。
水中でカメラ類を持っているのはたいてい私自身なので自分の写真がそれほどないところがちょっと寂しいけど。
私がこの装備をつけると、私が器材に装着されているように見えてしまう。
こういうときにはどうしても体が小さいというのはおもしろくない。ただし、これらの装備で潜る周りのダイバーと比べて、水中では小ささで俄然目立つけど・・・。

新しい器材、新しいスキル。
こういうコースを取るたびにやっぱりダイビングやめられないなぁ、と思う。


 

 

タイで失恋

確か中学生や高校生のころ、女の子が失恋をすると髪を切る、っていうのがあった。

どれくらい切るのかは失恋の度合いによるんだろうか。それとも毛先をそろえるだけ、っていうのもありなんだろうか。
私自身そういうことをしたことがないので詳細がわからないけど、タイで女の子が失恋したときの話。

本気で好きになった人に失恋したとき、彼女たちは「髪を切る」んじゃなくて髪を剃ってしまう。
これをはじめて聞いたのは最近。
たまり場になっているバーの女の子が時々髪の長さが違うから聞いてみた。
「髪切ったの?」って。
そうしたら「これはかつらだよ」って言う答え。

そのときには、いつもあんなに長い髪がよく簡単に短い髪のウィッグに入るもんなだぁ、なんて思っただけ。
でも、その後に一緒に座ってたPhilが「あいつ、この前、髪剃ったんだよ。」って。

「へ??」
だ。

髪を剃る、って、そんな発想にびっくりした。
さすがタイ人。することが極端で、しかも激しい。

髪を剃ってはみたものの、その頭でバーカウンターの中で働くわけにはいかないから、毎日ウィッグをかぶっているらしい。


普段はにこやかで明るいのがタイ人の特徴。
でも、いったん感情的になると手のつけようがないというのが正直な私の感想。そんな激しい気性が「失恋したら髪を剃る」っていうところにいってしまうのかなぁ。

ちなみに私には失恋したくらいで髪を剃る勇気はありません。

 

ダイビング業界内の人、外の人?


夕方、サンセット後、空がなんとも言えない涼しい色に変わるころ。
この時間帯が私がピピ島で一番好きな時間。


この時間に私は仲良しのPhilとピアの目の前にあるバーに出かける。

一日の終わりころに・・・仕事しないで・・・海から吹く風とビールを楽しむ。


私たちはこれを「Safety Stop」と呼んでいる。

Safety Stop、日本語で「安全停止」というダイビングの用語。私たちがダイビングに行ったとき、ダイブの最後、浮上の直前に5メートルで3分間、体内の窒素を抜く作業・・・といっても、5メートルで止まって呼吸しているだけなんだけど・・・をする。これが安全停止。

 

さて、私たちのSafety Stopでは、とにかくいろんなことを話す。

店のこと、ダイビングのこと、プライベートなこと、愚痴、ハッピーな話、昔話、とにかく何でもかんでも。自分でも「よくまぁ、毎日二人でこんなに話すことがあるもんだ」と思うくらい。

特に私のSafety Stop buddyPhilは、マネージャーという立場上、誰にでも愚痴が言えるわけじゃない。ガールフレンドはダイビングをする人ではないので、仕事やダイビングの話が通じないせいもあるのかもしれない。ちなみに私の彼もダイビング業界で働いてない。

 

数日前、ダイビング業界内のカップルのほうがいいか、そうじゃないか、っていう話になった。

結論は出なかったけど、こんな話。

 

私がこの仕事を始めたころにも思ったことがあるけど、一緒に働いているダイバーたちはみんなとても仲がいい。

そりゃ、たまには「あいつ気があわないな」って思う人もいるけど、そんなことはまれなこと。

みんながプロフェッショナルで、お互いの仕事の仕方をすごく尊重する。よほどのことがない限りお互いの器材を勝手に触ったりしないことからも、どれくらい敬意を払っているかが伺われる。

 

朝から一緒にボートで出かけて、午後は店に一緒にいて、夜は一緒にご飯を食べて飲みに行く。
仕事とは言っても、私たちの仕事は人を楽しませるのも仕事のうちだから、自分たちも同時に楽しまないとうまくいかない。そんな仕事場だから、要は同じ店のスタッフとは毎日楽しい時間をすごしていることになる。

そりゃ、当然仲よくもなる。

仕事上全員がリーダーシップを持っていて、個性も強い人が多いように思う。さらにこの仕事は、まれだとは言え、時に命がかかることもある。

馬鹿なことを言ってはしゃいだり、転げまわったりしていても、何か起こったときにはすごいチーム力を発揮する。

 

まぁ、どんな業界でも特殊なことはあると思う。
そして、その特殊さはその業界内にいないとなかなか理解できない。

 

ここでさっきのはなしだ。

彼女や彼がダイビング業界内の人の方がいいのか、悪いのか、きっと結論は出ないけど、ひとつだけPhilと二人で一致した意見。

業界外の彼や彼女にやきもちを焼かれるとどうにも対処のしようがないよね。、って。

 

一緒に働いているというだけの人たちが、どうしてそんなにいつもくっついているのか、どうしても理解してもらえない。

どうして話をするのにそんなにくっついてなくちゃいけないの?っていわれたら・・・。

mmmm・・・どうしてでしょう、くらいだ。

 

ラッキーなことに私の彼はのんびりした人なので、今までこれが問題になったことはない。彼は彼なりに、自分がどれくらい「ダイバー」というへんてこな集団を理解していないのかわかっているようにも見える。

そしてこれは私にとってとてもありがたいこと。

 

私個人としては、ダイバーじゃない人が彼のほうがいいなぁ。

仕事の愚痴を言ったとしても理解してもらえないければ、愚痴を言わなくなる。ダイビングのことを考えないでいたい時には、考えなくてすむ。

何か話しても理解してもらえなくて、面白くない時もあるけど・・・。

 

 

これまた私個人の思いだけど、この仕事をしていてよかった。言語の問題もあって最初は大変だったけど、今では世界中に親友がいる。そして、そのどの友達もとても信頼している。家族以外にこんなにたくさん大切な人がいるっていうだけで大満足。