2011/10/05

映画 「親愛なるきみへ」

今日は水曜日。
パパと映画デートの日だ。

今日も時間表を見ずに劇場へ出かけたら「あ!今始まったんじゃない?」っていう1本があった。

「親愛なるきみへ」
今回は・・・お~っと、なぜ隣に座っているのがパパ?なんて思わず言いたくなりそうなコテコテのラブ・ストーリーでした。
選んでないんだから仕方ないんだけどね。

若手の役者二人が主人公で、その脇を締めているのが父親役のベテラン。

チャニング・テイタムという男優さん、初めて見たんだけど・・・と言うか、今まで注目したことなかったんだけど・・・すごくセクシーでよかった~。
 ・・・きっとこれも私の好みなだけだと思うけど・・・。いや、言ってしまいましょう・・・この人の顔のつくり、私が昔大好きだった人とよく似てる。
なにが、って。いわゆる整った顔なわけではないんだけど・・・おっと、失礼。この人元々モデルだから、きっと一般受けをする顔の範疇なんだと思う・・・。だけど、顔の大きさの割りに、パーツが小作りというか・・・。しかも体がすごく大きいというところも・・・。
だから、とにかく、表情がよく似てるんだよね~~。

と、いうことで、もしかしたら、他の人が見たら、私ほどこの映画の印象はよくないのかもしれない。まぁ、このブログ自体がどこまでも主観をのべているだけだということは他のページを見てもらえればわかることなので・・・ま、いいか。


で、映画の話に戻りますが。
前半、人物の描写も背景もストーリーもうまくすすんでいくんですが、後半、ちょっとはしょりすぎなんじゃないかと思う。
あるいは最初に「出会いの2週間」でラブストーリーの映像をとりすぎて、後半時間がなくなってしまったのかな。私自身は二人が一緒にいないシーンの方がこういう恋愛のよさをうまく表現しているように見えたけど、実際は二人同時にスクリーンに映ってないと絵になりにくいのかなぁ。


ラスト・シーンですが。
予告には「衝撃のラスト」なんて書いてあるけど、ちょっと無理があったように思う。これは映画や小説だから成り立つ、他人が見た場合の理想のラストシーンです。
これが現実に起こったら、この後の二人の人生はそれほど楽しいものではないんじゃないかと思う。特に主人公たちの性格を考えれば。
しかも、おそらく実際にはこんなラストを自分の人生の中には選ばないんじゃないかと思う。
まぁ、こういうのは人それぞれですが・・・。主観です。

作品としては、山も谷もありラブストーリーが特に嫌いと言う人ではなければ、楽しめると思います。あ、ちなみに原作者が「きみに読む物語」のニコラス・スパークスです。

興味がある方は下記へ。
「親愛なるきみへ」公式サイト


小説 「のぼうの城」 和田竜

今回の階段文庫。いつもと比べて本の数も種類も多い。

和田竜という、聞いたことのない名前の文庫本が数冊あった。
「のぼうの城」
「忍びの国」
「小太郎の左腕」

「のぼうの城」という作品が最初の作品らしいが、129万部以上の売り上げ!・・・「小太郎の左腕」の帯に書いてあった・・・。これはすごい。
装丁は、文庫本なのにまるで単行本のような凝りよう。これは表紙で勝負がついたな、と思わせるに十分なインパクトのあるデザイン。そしてなぜか各ページの紙が異常に厚い。文庫本としては薄めの上下巻だけど、紙を一般の文庫本に使う用紙にしたら、1冊に収まるんじゃないかと思う。
だけど、それをあえて2巻に分けているところ、表紙のデザインに関係があるのかな。興味のある方は本屋さんで平積みで並んでいるところを見てほしい。

さて、本の装丁にここまで勝手なことを書いておいてなんだ、と言われそうだが、中身は「なるほど。これは129万部突破」と思わせるもの。
実際の歴史上の事実と多少のフィクションを交えてあるらしい。
舞台は現在の埼玉県。さきたま古墳群がある辺り。
実は私の母の実家がこの古墳群等からそれほど遠くないところにあり、地名なども多少身近な分面白く感じたのではないかとも思う。

登場人物は誰でも名前を知っているような人物から、実在人物にもかかわらず名前を聞いたこともない人までさまざま。
その登場人物一人ひとりのパーソナリティを、それぞれかっこよく設定してある。
戦国時代の人間の気風も風習も、戦国物を読んだことのない人にもわかりやすい書き方で説明してある。

どの人物をとっても、惚れ込んでしまいそうなほどかっこいい。これだけで十分なところを、あらすじも、実話だったとは思えないほどこれまたかっこいい。

この小説、映画化される予定だったのが、東日本大震災があったため延期されていた。
戦の攻め方が「水攻め」だ、と言う理由。たしかに津波に被災した人々がいる中で、それがいくら歴史上の事実であれ、映画であれ、水攻めはちょっと・・・。

史上に残る石田光成の負け戦。忍城(おしじょう)の水攻め。
戦国物をそれほど好まない私が「ちょっと他の戦国小説も読んでみようかな」なんて思ってしまった。

最初に挙げたほかの2冊。「のぼうの城」ほどのインパクトはない。が、もちろんそれなりに面白かった。

「忍びの国」は昔から小説には取り上げにくいテーマの忍者もの。
私にとって忍者とは、司馬遼太郎「梟の城」の重さまと忍者ハットリくんくらいしか知らないので、何の比較にもならないけど、古い書物などもたくさん参考文献として使用しているようで、細かいところが面白い。

3冊挙げておいて、2冊のことしか書かないのも気持ち悪いので、もう1冊「小太郎の左腕」についても触れておこうかな。
これは先の2冊と比べるとフィクション性がかなりあがっている作品・・・って、あとがきに書いてあった。
江戸時代を舞台にした町人などが主人公の小説を「江戸もの」と言うとしたら、これはまさに「戦国もの」なんじゃないかと思う。


この人の作品。どれをとっても主人公、あるいは脇役であっても、登場人物がかっこよすぎる。と、いうか、私の好みなだけかな。
強くて潔かったら、小説なんて顔は自由に想像してるわけだから、かっこよく見えて当たり前だ。
こういう小説が映画になったのは、見ない方がいいのかなぁ。
ちなみに「のぼうの城」。野村萬斎、佐藤浩市は私のキャスティングとはだ~いぶずれてます。

興味のある方は下記へ。
ウィキペディア「のぼうの城」

映画「のぼうの城」公式サイト



2011/10/02

小説 「私を離さないで」 カズオ・イシグロ

この本もうちの階段文庫で見つけました。

少し前に映画にもなった作品です。
作者はカズオ・イシグロ。
名前の通り日本人ですが、小さなころから英国に住んでいて、小説は英語で書かれています。
この本以外にもたくさん書いているんですが、特に有名なのはブッカー賞を取っている「日の名残り」。この作品も映画化されていて、アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンが演じています。

今回の「私を離さないで」。
母曰く「ちょっと重い作品よ。」
確かに根底に流れているものはとても重たい課題だと思う。ただ、読者にはその課題がなかなか明確に明かされない。

主人公たちが成長過程で自分たちの運命を少しずつ受け入れていく。そのスピードと同じスピードで読者も彼らの運命を把握していく、そんな書き方がしてある。
「そんな書き方がしてある」なんて、簡単な言葉で言ってしまったいるけれど、これを故意的に表現したイシグロさんの筆の力に感嘆する。
ちょっと間違えれば、読者には何を言っているのか通じなくなってしまう。きわどい線上をたどっているような書き方だ。

そしてこの課題、あるいは運命。最後まで一言も明確には書かれていない。
もしかして、私が読みすごしてしまったのかと思い、何度もページを戻った。でも、どこにも書いてない。

「クローン」「臓器提供」「人権」等々。
これらの言葉を聞いただけで興味深い内容だ。
でも小説の中ではこれらの言葉が使われることはない。これらの言葉を使わずして、これらを主題にしている。
そして、作者自身が一体どういう意見を持っているのかすら、よくわからない。
小説という形で、ある仮定を定義し、差し出されている。

そんな小難しいことを考えずに読み進めるだけでもいい作品だ。翻訳された作品だから、この小説の日本語の中には土屋さんという翻訳家の言葉がたくさん入っていると思う。
でも、語りかけるような口調と、包み込まれるような優しさと同時に悲しみがとてもよく伝わってくる。

時間があれば映画も見てみたいとは思っている。ただ日本で映画をレンタルするときには「笑えるもの」とう条件付なので、ちょっと難しいかなぁ。

 映画に興味のある方へ。
映画「私を離さないで」公式サイト


ポテトサラダ

夏の間ドイツに住むようになってから、Wolleママや周りの人にちょこちょこ聞きながら、ドイツの家庭料理も作るようになってきている。

ドイツの料理といえばみんな、一番最初に想像するのがソーセージなんじゃないかと思う。
確かに。バーベキューの時には必ずソーセージが出てくるし、料理としてもザワークラウト(すっぱいキャベツの付け合せ)と一緒に出てくることもある。

ソーセージ以外で、ドイツ人たち自身も笑いながら冗談で言い合うほどよく登場するのが「ポテトサラダ」。
日本でつけ合わせなんかにも出てくるポテトサラダの原型はおそらくドイツのサラダだと思う。

このポテトサラダ・・・ドイツ語ではカトフェルン・サラダ。日本で言うならおみおつけや肉じゃがのように、各家庭あるいは料理をする人によって味が違う。
あれやこれや混ぜてあるものから、ジャガイモとベーコンのみ、というシンプルなものまで。

すべてのカトフェルン・サラダに共通していることを強いてあげるとすれば、ジャガイモが入っていること、酸味が少々効いていること・・・くらいだろうか。ジャガイモが入っていなければポテトサラダではないのだから、当たり前のことを言っているように聞こえると思うけれど、要するに、それくらい各家庭でまちまちだ、っていうこと。

Wolleがうちのママのよりおいしい、と賞賛するのはイスカという友だちのカトフェルン・サラダ。ごくごくシンプルなので、作り方も説明しておこう。

イスカのカトフェルンサラダ
材料:ジャガイモ
    厚切りベーコン・・・多少脂が入っていた方がおいしい
   酢
   砂糖

①ジャガイモを皮をむかずに串が通るまでゆでる。
②厚切りのベーコンをさいころ状に切り、多目の油でかりかりになるまでいためる。
③茹で上がったジャガイモの皮をむき、5mmほどの輪切りにする。
④ベーコンを炒めた油ごと混ぜ、酢、砂糖を少々混ぜる。この酢と砂糖は好みによって調節。

たったのこれだけですごくおいしい。ジャガイモをゆですぎない方がこのポテトサラダには合うと思う。


私にとってはどのカトフェルン・サラダもおいしい。ケイパー、きゅうりのピクルス、ねぎなんかも入ってたり・・・。
日本のポテトサラダと決定的に違うところは、ジャガイモの形状を崩していないこと。混ぜる際に角が少し、位で、つぶす、というのは聞かない。


ところで、うちの父はポテトサラダが好物である。
ところが、私がドイツに通うようになり、今までとはちっと違ったポテトサラダを作るようになってから、以前のようにお皿に山盛り食べなくなった気がする。翌日まで残っていたりするし・・・。

私としてはドイツ風に少し変えてみて、おいしくしようとしていたんだけど・・・結果的に、父にとっては「好物のポテトサラダ」ではなくなってしまったのかもしれないなぁ、なんて最近気がついた。

と、いうことで、今日の夕食には「父のポテトサラダ」を作ります。