2011/12/28

ファンファンダイブ

元々はピピ島に来ていた旅行者のIkuちゃん。
最近は毎年年末年始にはピピ島にいる顔のひとつになってる。でも、今まで私が忙しすぎて、一緒にダイビングに行ったことはなかった。

ところが今日、とうとうその日が。
これは1本目の深場でのアカエイ。
最近数が復活してきたカクレクマノミ。
この子達は写真を撮るのがすごく難しい。最近は私自身が自分のカメラになれてきて、1度できれいに撮れるようになってきた。
中層で小魚の群れを追うカイワリ。私たちの目の前で、まるで私たちなんか気にも留めていないかのように群れでハンティング。
このウミウシ、はじめてみる種類。
海に漬かりきっていて10年も経つのにいまだに新しいものがてんこ盛り。
生物よりも、地形の好きなIkuちゃんのリクエストで、2本目はスイム・スルー(トンネル上の地形)の多いダイブサイトへ。
ピピ島ではなぜか1シーズン1匹くらいしかいないモンガラカワハギ。この子はまだ若魚。
このウミウシもはじめてみる種類。
たいていウミウシというと数センチのものが多いんだけど、この子は私の手のひらくらいの大きさがあった。よく見ると写真の右手にちゃんと触覚らしきものがある。
カバーン(常に入り口が見えている状態の洞窟状のもの)の中からIkuちゃんの写真。
オーバー・ハング(壁がくびれこんでいるところ)や、カバーンの中は暗い。したがって、中から外を見ると水が光って見えてとてもきれい。
まるでアクアラング(器材のメーカー)の広告みたいだけど、二人で潜った証拠に・・・。
生徒を持つのはかわいいし、初めてダイビングに行く人と一緒に行っても楽しい。
だけど、中のいい人と一緒に行くのはそれに輪をかけて楽しい。

2011/12/26

クリスマス2011年

スマトラ島沖地震の津波から7年目

12月26日。 今日でスマトラ島沖地震によって発生した津波の日から7年。 今年もメモリアルセレモニーに行ってきた。 今年は去年よりもさらに人数が減ってた。あの日のことを悲しみながら生きている人が減ったっていうことだと思って、毎年人数が減っていくのを見ている。 それでもやっぱり、まだ毎年見る顔がある。 当日はイスラム教、仏教、キリスト教とテントが分かれていて、それぞれのテントでお祈りをする。何度見ても少し異様な光景。 いまだにこのセレモニーに来ている外国人は、この島に住んで長い人が多い。しかも、連れ立ってくるんじゃなくて、私みたいに一人で来ている。 テントには参加せず、それぞれにあの日のことを思いながら、佇んでいる知っている顔たち。 もう普段はそれほど考えることのなくなったあの日のことを、この12月26日だけは、少しだけ涙がこぼれそうになる。何に涙しているのかはわからないけれど。 この日は、1年中で忙しい時期の真っ只中だというのに、いくつものレストランや店が閉まってる。閉まったレストランでは仲間内で集まったりもする。 仲のいい友達は、家族を亡くしたこの日に「悲しむんじゃなくて、ハッピーに生きよう」という理由で、レストランを閉めてパーティーを開く。今年も私はそのパーティに参加です。

2011/12/21

庭の酔っ払い

今朝起きたら、うちの庭で・・・勝手にバンガローの脇を庭にしてるんだけど・・・知らない人が寝てた。 昨日からWolleはペナンに出かけていて、その代わりに昨日島に着いた日本人スタッフをうちに泊めてた。だから一人ではなかったけど、ちょっとびっくり。 時々真夜中に酔っ払った人がうちのバンガローまで来る。たいていの人はバルコニーまで上がってくるから、Wolleがいないときにはしっかり鍵はかけてる。 Wolleの考察によると、うちは寝るときも洗面所の電気をつけたままだから、人が寄ってくるんじゃないかという話。 でも今日の訪問者はバルコニーまで上がっては来ず、庭で寝ることに決めた様子。

ちゃんと自分のバスタオルを引いて寝てるところに思わず笑ってしまった。 私たちが朝ごはんを食べてると、彼は起きだして「水が買えるのはどこ??」ってガラガラの、今にも倒れそうな声で聞くので水を1本おすそ分け。 ところが、目を覚ましてもまだ半分酔っ払ってる様子の彼は、その後丸々半時間はしゃべりっぱなし。 自己紹介から始まり、昨日どこで何をしたのかを延々話す。 結局私たちが店に下りていかなくちゃいけない時間まで、話し、私たちが出かけるとき、彼はずうずうしくもバルコニーまで上がってきて横になった。結局そのまま放置して出かけてきたけど、いつまで寝ていたことだろう。 今晩帰ったら、まだいた、なんてことのないといいけど・・・。いやいや、彼は今日パーティクルーズに参加するって言ってたからたぶん大丈夫・・・。 昨晩ビーチで飲んでいて、自分の宿がわからなくなり、迷子になって120段もある階段を上ってきたらしい。 この人だけじゃなくて、ほかに迷ってくる人もそうだけど、どうして自分の宿が登ったこともない階段を120段も上ったところにあるなんて思うんだろう。酔っ払っていたらあがってくるのに時間もかかるだろうに、その間に、どうして「引き返す」という選択肢が浮かばないのか不思議。 でも、それが酔っ払いなんだよね。

2011/12/11

Self-Reliant Diver Course ~ソロ・ダイバーコース~

普段私たちがしているダイビングは、レクリエーショナル・ダイビングと呼ばれる。
このタイプのダイビングだけではなく、基本的にはどのダイビングも「バディ・チーム」というシステムをとり、必ず誰かしらと一緒にダイビングをすることになってる。

ただ、数年前から私がしているように、水中でデイトリップのビデオを撮ったりしていると、自然水中で一人になる時間が出てくる。
あるいは、ダイビングを仕事にし始めてしばらくすると、一人でファンダイブに行きたくなるダイバーも出てくる。

そんなダイバーのために、ひとりで潜る資格を取るコースがある。
PADIの名前で新しくできたのが「Self-Reliant Diver course」。
ちょっと特別なスペシャリティコースだ。

このコース、元々はテクニカルダイビングのコース。
名前がPADIではあるけれど、コース自体はテクニカル・レクリエーションダイバーのものと同じ・・・らしい。ちなみに私はテクニカルダイバーではないので、細かいことはよく知らない。

PADI、あるいは他の団体も、なぜ「バディ・システム」をとっているのか。
理由はごく単純。
安全性のため。誰か説いたほうが楽しいから。などなど。
何か特別な魚を見たときなんか、一緒にいる誰かに見せたくなるものだ。あるいは、なにか事故につながるような事態が起こったとき、誰かがそばにいてくれれば、何とかなることが多い。

それを、あえて一人で潜るダイビング。
もちろん、リスクは確実にあがる。
ただ、ビデオグラファー、フォトグラファーのように、常に誰かと一緒にいるのが難しいダイビングをするときには、リスクを回避する方法を知っておくに越したことはない。

と、いうことで。 今回このコースを取ってみました。

ホンジュラスで働いていたとき以来の仲良しで、今はモスキートダイビングのマネージャーをしているフィルは、コースディレクターというインストラクターとしては最高峰のインストラクター、さらにテクニカルダイビングのインストラクターでもある。
最近どんなコースを取るときもフィルに教えてもらってる。
そして今回ももちろん。


マニュアルはないコースなので、手っ取り早くインストラクターマニュアル(どういう風にコースを教えるのかという、概要が書いてある)を読んで、学科を終える。

翌日フィルと一緒に海へ。
器材はいつもの器材に、スペアタンクをつける。そして、予備の器材をいくつか。

普段のタンクにもうひとつタンクがつくと、水中での微妙なバランスが変わる。
水中で予備タンクの位置を変えることもできるからいいんだけど、バランスのコツをつかむまで浮力が少しふらつく。

コースだから、もちろん水中でのスキルの練習もある。

レギュレーターが壊れた、エア切れ、とういう想定でスペアタンクからの呼吸に切り替える練習。
10分ごと、あるいは20気圧ごとにどれくらい空気を吸うか、どれくらい時間がかかるかメモしていく。
マスクなしで2分間泳ぐ。
一定深度で10分間泳ぎ、数式を使って、海抜0mで1分間にどれくらい空気を使うのか計算。
普段は5mから上げるセーフティバルーンを深度下から上げる練習、等々。

水中で、誰かに「これをしなさい」って指示することは多くても、指示されることの少ない今では、こんな小さな練習でもなんだか楽しい。

ここ何年か、確かにすでに一人で潜ってきてはいたけれど、今回のコースでは改めて一人で水中にいるということを考えた。

たった1時間しか潜ってないんだから、エア切れになることは基本的にはないはず。でも、万が一起こってしまったときの事を考えたら、コース中に習ったことは絶対に無駄じゃない。

ちなみに普段自分の残圧(現在タンクに残っている空気の量)をチェックすることなんてほとんどない。周りのダイバーに残圧を聞くときさえ、自分のをチェックするのは最初の1度くらい。
それがこのコース中、20気圧ごとにメモを取らないといけないので、ものすごく頻繁に残圧をチェック。
この習慣だけでも安全性を高めるのに十分だ。
頻繁にチェックしている自分に、ちょっと笑ってしまったけど。

2011/12/09

カクレクマノミ

このシーズンに気がついたこと。

ずいぶん前の話になるけれど、アニメーション映画で「Finding Nimo」という映画があった。子供から大人まで楽しめるアニメーションで人気を博した。
主人公はカクレクマノミの親子。子供のNimoがダイバーに連れ去られたのを、パパが探しに行くというストーリー。
いまでも、体験ダイバーや初めてダイビングする人たちはこのカクレクマノミを「ニモ」って呼ぶくらい。

ところがこの映画の後、カクレクマノミのかわいさのあまり、自分の部屋の水槽に飼いたいと思う人が急増したらしい。
そして何が起こったかというと、カクレクマノミの乱獲・・・。
映画が喚起しているメッセージに「自然から生き物をむやみに持ち帰っちゃいけない」っていうのが含まれてはいなかっただろうか。
実際にはまったく逆の効果を生んだ。

それまでピピ島の海ではこれでもか、っていうくらい、そこら中にカクレクマノミを見ることができた。それが映画の後数年間、探さないと見られないもののひとつになってしまった。

それが!
今年急増。
やっと「カクレクマノミを水槽で飼う」人気が下がったんだろうか。
元々カクレクマノミが生息しやすい環境だからたくさんいたわけだ。だから、捕獲さえしなければ前のようにどこでもカクレクマノミが見られるようになるはず。

この発見。私にとってはすごくうれしいもの。

上の写真は近日のもの。自然の中にいるときは彼らはとても八色のいいオレンジ色をしている。でも、水槽に飼うようになるとこのオレンジ色はどんどん色が薄れていく。
魚にとって大海から水槽に移されることがどれくらいストレスになるのかわかる。

もっともっと増えて、映画の前くらいの数に戻るといいな。

2011/12/05

オープンウォーターコース

このシーズン、ビデオを持って水中にいるよりも、ダイバーを連れていることが多い。

先月末から、突然リバボート(クルーズ船)のトリップに駆り出され、5日間ボートにいた。ビデオグラファーとしてではなく、ボートリーダーとして。だから水中ではファンダイバーのガイド。
船から下りたと思ったら、店のスタッフの誰かがドイツ語でのオープンウォーターをブッキングしていて、翌日からコーススタート。
その3日が終わったと思ったら、店のオーナーの息子が「Yaskoとコースを取りたい」といいだしてまたスタート。彼は週末しか島にいないので、コースは途中まで。また来週続ける。

この立て続けの3つ。
普段とはかなり違う。
大体、私がリバボートに乗ること自体珍しい。オーナーのOiがキッチンスタッフとして乗ることになったので、Oiが店からのスタッフをリクエストしたらしい。彼女の料理はレストランを開くほどおいしいから、オーナーなのに時々ボートに乗っている。
このトリップのお客さんたち、パリから来た男の子7人組。みんなテレビ、映像関係の仕事をしていて、念のため持っていった私のビデオはお呼びでなかった。
7人のうち2組はカップル・・・。どたばたと予期せぬ出来事も起こりながらも、それなりに楽しいトリップだった。

その後のドイツ語のコース。
今までドイツ語でコースを全部したことはない。体験ダイビングを1回。オープンウォーターコースの学科の前半と限定水域のみを1回。
もちろん水中では言葉が通じないから何語でもいいんだけど、学科はもちろん言葉が必要だ。私のたどたどしいドイツ語を生徒さんは一生懸命聞いてくれた。
生徒さんは、いくらそれがつたなくても、自分の言語で説明してくれる以上、インストラクターの言うことを一生懸命聞いてくれる。言葉のつたなさが申し訳ないと同時に、とてもありがたい。
私自身は話すのに一生懸命だから感じなかったけど、どうも、他の人から見て、彼女はすごく変わった人だったらしい。確かに一人でしゃべって一人で笑ってることとかあったけど・・・。もしかしたら、だからこんな私のドイツ語でもよかったのかな、なんても思う。最終的に彼女は超ハッピーでコースを終えた。

さて、オーナーの息子、Dino。
11歳。甘えん坊でシャイ。ただ、私にとっては小さいころから知っているチビスケなので、とてもかわいい。ちょっと前まですぐ泣いて、私しか近くにいないときには私にでも抱っこしてもらいにきてた。
オープンウォーターのコースを取れるのは10歳から。去年からみんなに押されていたんだけど、テキストを読みたくないために伸ばし伸ばしになっていた。
ただ、実際にはPADIの規定では、文盲の人のために、口頭で学科を勧めることが許可されている。インストラクターが面倒くさがりさえしなければ、口頭で授業ができる。
確かに11歳の坊主には内容も使われる言葉も難しい。
DVDを見る以外、結局は全部口頭で進めた。

ちなみに彼はインターナショナルスクールに通っているので、こと読み書きに関してはタイ語よりも英語のほうが得意である。
私が「英語とタイ語とどっちでコースとる?」って聞いたら、「英語でしょ。だってタイ語じゃYasko、わかんないじゃん。」だって・・・。ふん、生意気な・・・。でも確かに・・・。

集中力も体力も11歳。大人のコースとはまったく違うと思わないといけない。
「密度って何?」「浮力って何?」「気管って何?」
彼にとっては新しいことばかり。ただ、さすが生まれたときからダイビングを身近にしていただけあって、器材のことや、大事なルールはよく知ってる。
学科中はゾンビになりかけていた彼は、水に入るとなったとたん元気になり、まったく体に合ってないマスクや器材もなんのその。大事なポイントだけうまくつかんで、面白いほど彼流のスキルを見せてくれた。
マスクが大きすぎて常に水が入ってくる状態。それってすごくストレスで、そのストレスをコントロールしながら初めてのスキルをするのは大人でも大変なこと。「マスクが・・・、マスクが・・・」なんていいながらも、全スキルを大人と同じくらいの短時間で済ませた。

普段は照れてあんまりよってこないくせに、コースが始まってからの週末は、私の尻尾になってしまったかのようにくっついて歩いてた。こういうところはジュニア・ダイバーはすごくかわいい。

今シーズン。実はたくさん映像を撮ろうと思っていたんだけど、どうもそうもいかなさそう。でも、カメラの代わりにダイバーを連れているということは、仕事をする時間が短くてすむ。それはそれで、いいかな。
映像を撮っていると一人だけど、誰かと一緒にダイビングするのはすごく楽しいから。