普段私たちがしているダイビングは、レクリエーショナル・ダイビングと呼ばれる。
このタイプのダイビングだけではなく、基本的にはどのダイビングも「バディ・チーム」というシステムをとり、必ず誰かしらと一緒にダイビングをすることになってる。
ただ、数年前から私がしているように、水中でデイトリップのビデオを撮ったりしていると、自然水中で一人になる時間が出てくる。
あるいは、ダイビングを仕事にし始めてしばらくすると、一人でファンダイブに行きたくなるダイバーも出てくる。
そんなダイバーのために、ひとりで潜る資格を取るコースがある。
PADIの名前で新しくできたのが「Self-Reliant Diver course」。
ちょっと特別なスペシャリティコースだ。
このコース、元々はテクニカルダイビングのコース。
名前がPADIではあるけれど、コース自体はテクニカル・レクリエーションダイバーのものと同じ・・・らしい。ちなみに私はテクニカルダイバーではないので、細かいことはよく知らない。
PADI、あるいは他の団体も、なぜ「バディ・システム」をとっているのか。
理由はごく単純。
安全性のため。誰か説いたほうが楽しいから。などなど。
何か特別な魚を見たときなんか、一緒にいる誰かに見せたくなるものだ。あるいは、なにか事故につながるような事態が起こったとき、誰かがそばにいてくれれば、何とかなることが多い。
それを、あえて一人で潜るダイビング。
もちろん、リスクは確実にあがる。
ただ、ビデオグラファー、フォトグラファーのように、常に誰かと一緒にいるのが難しいダイビングをするときには、リスクを回避する方法を知っておくに越したことはない。
と、いうことで。
今回このコースを取ってみました。
ホンジュラスで働いていたとき以来の仲良しで、今はモスキートダイビングのマネージャーをしているフィルは、コースディレクターというインストラクターとしては最高峰のインストラクター、さらにテクニカルダイビングのインストラクターでもある。
最近どんなコースを取るときもフィルに教えてもらってる。
そして今回ももちろん。
マニュアルはないコースなので、手っ取り早くインストラクターマニュアル(どういう風にコースを教えるのかという、概要が書いてある)を読んで、学科を終える。
翌日フィルと一緒に海へ。
器材はいつもの器材に、スペアタンクをつける。そして、予備の器材をいくつか。
普段のタンクにもうひとつタンクがつくと、水中での微妙なバランスが変わる。
水中で予備タンクの位置を変えることもできるからいいんだけど、バランスのコツをつかむまで浮力が少しふらつく。
コースだから、もちろん水中でのスキルの練習もある。
レギュレーターが壊れた、エア切れ、とういう想定でスペアタンクからの呼吸に切り替える練習。
10分ごと、あるいは20気圧ごとにどれくらい空気を吸うか、どれくらい時間がかかるかメモしていく。
マスクなしで2分間泳ぐ。
一定深度で10分間泳ぎ、数式を使って、海抜0mで1分間にどれくらい空気を使うのか計算。
普段は5mから上げるセーフティバルーンを深度下から上げる練習、等々。
水中で、誰かに「これをしなさい」って指示することは多くても、指示されることの少ない今では、こんな小さな練習でもなんだか楽しい。
ここ何年か、確かにすでに一人で潜ってきてはいたけれど、今回のコースでは改めて一人で水中にいるということを考えた。
たった1時間しか潜ってないんだから、エア切れになることは基本的にはないはず。でも、万が一起こってしまったときの事を考えたら、コース中に習ったことは絶対に無駄じゃない。
ちなみに普段自分の残圧(現在タンクに残っている空気の量)をチェックすることなんてほとんどない。周りのダイバーに残圧を聞くときさえ、自分のをチェックするのは最初の1度くらい。
それがこのコース中、20気圧ごとにメモを取らないといけないので、ものすごく頻繁に残圧をチェック。
この習慣だけでも安全性を高めるのに十分だ。
頻繁にチェックしている自分に、ちょっと笑ってしまったけど。
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