2012/11/17

小説 「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子

久しぶりに本屋さんに出かけた。
これは日本に帰ってきたときに楽しみにしていることのひとつ。
 
さて、今回本屋さんの文庫本コーナーで平積みになっている本から最初に手に取ったもの。
 
小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」。
相変わらず意味不明のタイトル。
 
彼女の作品は高校生のころから新刊を待ち焦がれて読んでいる。
なぜ好きなのかと聞かれると、「どこが」とははっきり言えないのだけれど、この作者にしか描き出せない世界が好きだとしかいいようがない。
 
「博士の愛した数式」以来、彼女の作品は必ず文庫本になるので、大きな本屋さんで単行本でしか彼女の本が手に入らなかったころと比べると、なんと便利になったことか。
 
 
さて今回の「猫を抱いて象と泳ぐ」。
 
中途半端ではなく、徹底的に小川洋子風の作品。
冷たさの中に、やわらかく暖かく小さなものが描き出されている。
時間的にも空間的にも、とことん非現実なものを、まるで当たり前の世界のように描き出し、その一場面一場面を愛しむように表現されている。
 
主人公が一体子供なのか大人なのかさえ、途中からは判然としない。
 
ただ、登場人物の持つやさしさと、何か誰かを大切にする気持ちは痛いほど伝わる。
 
 
今回の作品。
読み応えがあるかといえば、「まぁまぁ」。
小川洋子の作品でこれよりいいものはたくさんある。
 
ただ、「小川洋子ってどんな作品を書く人なの?」って思っている人にはちょうどいいんじゃないかと思う。
これです。
小川洋子の独創性が顕著に出ています。
 
昔は短編が多かったこの作家。
最近は長編が多くて、私はひそかに喜んでいる。
 
 
興味のある方はこちらを参考に。
 
 
 
私が好きな作家を挙げてください、と言われたら、数人の中に入る作家です。

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