2013/05/21

息ごらえで遊ぶ

昔々、店にあった小型のプールで息ごらえをしてほかのスタッフと一緒に遊んだ。

別に、記録を作ろう、とか、競争をしよう、とかそんなんじゃない。
ただただ、暇だったとき。シフトに入っているとき以外も、島ですることなんてないから、店にいた。店にいても暇だから、プールに入って遊ぼう、と。


そのころ、呼吸方法なんて知らなかったし、息ごらえ、あるいはフリーダイビングなんかに関しても、何の知識も持ち合わせてなかった。

でも、2,3回は友達と二人でプールの底に沈んだだろうか。
私のそのころの記録は3分50秒ほど。
なんの知識もなしに遊んだにしてはそこそこの記録なんじゃないかと思う。だけど、一緒に遊んでいた友達は私の記録を1分ほど上回っていた。
どうしても彼には勝てなかった。


さらに数年前。
前述の同じプールで、今度はひとりで遊ぶ。
このとき、自分の最長記録がでてる。
正直言って、これは苦しかった。


さて、今年、何を思い立ってか、またそんなことをしてみたくなった。

まぁ、メディテーションのような効果があるので、ちょっとわさわさした気持ちを落ち着かせよう、というのが目的だった。
だけど、今回は以前のようにプールがない。

と、いうことで、ビーチに出かけることに。
海水だということ、波があるということ、ビーチに他の人もいるということ、など、環境はプールと比べて決してよろしくはない。
だけど、他に場所がないんだから仕方ない。



最初に出かけたときにはひとり。
本当はこういうことをするのに、一人というのはよくない。
万が一何かあったときにはひとりでは当然対処が遅れる。

久しぶりの1回目。それほど無茶をするつもりはなかったので、店のスタッフに「1時間たっても戻ってこなかったらビーチに見に来て。」と、言い置いて出かけた。

久しぶりの息ごらえは、もちろん最初から飛ばし過ぎないように慎重に。
最初に1分半、次に2分、もう一度2分、そして2分半、2分半、3分。

1本1本の間に、しっかりと休憩を入れるので、これだけですでに1時間くらいは経ってしまう。

休憩を短くして飛ばしすぎると、手足がしびれたりする。
もちろん酸素不足・・・だと思う。



次に出かけたときには、店でブラブラと暇そうにしていたPikeyを連れて行く。
「どうせ何もしてないんでしょ。しかも、こんなことしたことないでしょ。面白いからおいで。」と。

面白いかどうか、半信半疑だったようだけど、思っていたよりも気持ちのいい遊びだったらしく、Pikeyは満足した様子。
しかも、自分で思っていた以上に息が続いたみたい。

この日私は3分半を数本繰り返した。
このあたりまで来ると、最後のほうは少し苦しくなってくる。はは、当たり前か~。


すると翌々日あたり、ダイビングに出かけたボートの上で、Mattが
「ねぇ、時間があるときでいいから、僕にフリーダイビングを教えてくれないかな。」

なに??
この前私がひとりで出かけて、帰ってきた後に「どうして酸欠状態を自ら作り出す、なんていうばかばかしいことをしてるんだ。」なんて憎まれ口をたたいてたくせに・・・。

いや。それより、Matt。
勘違いするんじゃない。
私は息ごらえをして遊んでるだけで、フリーダイビングの方法なんて何も知らないよ。
知っているとしたら、あなたもすでに知ってることくらいだ。

まぁ、彼曰く、それでもいい、というから、翌日一緒にビーチに出かけた。

PikeyよりもMattのほうがリラックスした性格なのか、負けず嫌いのせいか、Mattは最初の日から2分45秒も息をこらえてた。あ、もちろん徐々に伸ばして、だけど。


Mattとは、ダイビングに出かけるボートで、他の人がダイビングをしている間にフリーダイビングの練習にも行きたかったんだけど、こんな風に目的があるときには必ずうまくいかないもの。
調度そのころから、二人とも忙しくなって、結局できたのは昼休み中に6~7mくらいに降りたくらいだった。

それでも、息ごらえをすでにした後だったせいか、Mattも自信をもってゆっくりとダイブしてた。


浅くても、リーフの周りを、器材なしでゆっくりと泳ぎ回るのはとても気持ちがいい。
一瞬だけど、いつまでもそこにいられるような錯覚に陥る。
もちろんしばらくすれば水面に上がらなくちゃいけないんだけど・・・。ついつい息の続くギリギリまで水中にいて、慌てて水面に出る、ということになる。



シフトとダイビングの間を縫って、自分だけでも数回ビーチに出かけてみた。
だいたい、Wolleが島を出てしまってから、ひとりですることがない。
同じころには徐々に友達が島を出てしまっているし。

でも、毎回、3分45秒くらいでやめてしまう。
それ以上になると、苦しいのは必須だし、苦しいのは、やっぱり好きじゃないし・・・。

なぜ4分じゃないのか、自分でもわからないけど。
余裕を持って3分45秒いければいいじゃん、なんて思って、それ以上試みなかった。




実は、この息ごらえ。
最初の2分間、なんとも言えず気持ちがいい。
な~んにも考えず、呼吸もせず、ただ水の中にいる。
苦しくなんて、ちっともない。

こんな気持ちいいことが他にあるだろうか、っていうほど。

これを他の人に話してもなかなか信じてもらえないんだけど、本当の話だ。

目を閉じて、その場所で一番楽な姿勢で水に沈む。
ビーチでは、サージ(行ったりきたりする水の動き)があることが多いから、なんとなく波に転がされてしまって集中できないことが多いけど・・・。
それでも水面を見上げながらゆらゆらするのは、ご~く~ら~く~。

ただ、最近はカバナの限定水域ダイブに使われるビーチに中国人のおばちゃんが大量に水に浸かっていたりして、ひとりで息ごらえなんかしてると、わらわらと回りに寄ってきて、邪魔をしてくれるけど。


本当はもう少し本格的にコースなんかをとってもいいなぁ、なんて思うんだけど、いかんせん腰の重い質なので、これ以上は一向に進まない。
まぁ、いつか。


でも、私にとってはこの「2分間を楽しむ」遊びでも十分かもしれない。

 

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