2017/01/11

Sub Terranean River in Sabang ~パラワン島サバン 地底河川~



Palawan(パラワン)島のSabang(サバン)というところに地底河川があるという。

正直言って「地底河川」なんていう言葉は初めて聞いた。要するに水中洞窟じゃないの?なんて思っていたらこれも違うらしい。
実際に地中に水源があり、途中までは地中を水が流れており・・・想像するに地中の水脈みたいなものだろうか、それが途中から鍾乳洞のようなところを流れて、最終的に海に流れ込む。長さは8.2キロ。これまたずいぶんと長い。
一般の人が入れるのは最初の1.5キロほどのみ。そのあとは部分的にスクーバを使わなくてはならない部分などもあり、本格的な洞窟探検家のみが入れる。

観光案内にはどこも「Undergraund River」と書かれているけれど、厳密にいうと「Sub Terranean River」という。日本語で「地底河川」。
ここはユネスコの世界遺産にも数えられており、Palawan島の観光名所のひとつでもある。地底河川のサイズとしては世界最大級だということだ。

宿のおばちゃんの「Undergraund Riverに行くなら予約してあげるよ。」という一言で、じゃぁ行ってみるか、ということになった。
お迎えは朝7時。途中に休憩を挟みながらバスに揺られること3時間。フィリピン人8人、カナダ人2人。Wolleと私で総勢12人のツアーだ。
ガイドのお兄さんは車中ほとんどしゃべりっぱなし。ふんだんなジョークで楽しませてくれているものの、ジェットコースター並みのアップダウンを大急ぎでSabang に向かう。

なぜそんなに急ぐのか、道々少々疑問には感じていたんだけれど、なに、できるだけ早く現地に着かないと、ほかのツアーに先を越され、待ち時間が長くなるんだとか。なるほど。じゃぁ私は車に酔う前におやすみなさい、だ。


現地に着くと、ガイドがダッシュで順番を取りに行く。なるほど。すごい人の数だ。ドライバーが焦って車を駆っていたのもわかる気がする。

システムはこんな感じ。
地底河川の入り口があるのはすぐそこだとはいえボートで15分ほどかかる小さなビーチ。まずそのビーチに行くためのボートを予約する。ボート一艘最低4人、最大8人乗り。予約をすると何艘目のボートなのか、まずグループの番号をもらう。その番号が呼ばれるまで待つ。

私たちはここで1時間半はゆうに待たされた。私たちの番号は48番。Puerto Princesaを朝7時に出て大急ぎで来たのにすでに48番とは…。ちょっぴりガイドの気持ちがわかる。


そしてボートで洞窟の入り口があるビーチへ向かう。そのビーチ周辺はジャングルになっており、野生のお猿やオオトカゲなどもいる。私たちがピピ島で住んでいたバンガローの周辺にもお猿やオオトカゲはよくいたし、お猿に至っては時々バルコニーで出くわすこともあったのでたぶんアジアのジャングルにはたくさん住んでいるものなんだろうと思う。が、なぜか、お猿を見ると「いたよ、いたよ」と喜んでしまうのは、私たちが今日観光客なせいかな。同じものを見るんでも、ムードというものは大切、大切。

ボートに乗るとすぐに大きく番号のふられたライフジャケットを着る。ライフジャケットを最後に着たのなんてはるか昔のこと。暑いし、邪魔だし、こっそり脱いだりしていたら怒られた。「脱いじゃだめだよー。これがグループを確認する方法だから。」あ、なるほど。この大きく描かれた番号で誰がどのボートで来たのか確認するらしい。


ビーチからグループごとに地底河川の入り口に向かっていく間に、日本語を含む8か国語にも対応するガイドの機械が渡される。それを首にかけて、最後にヘルメットをかぶって入り口付近の沼のようなところで小型のボートに乗る。


鍾乳洞内にできるだけ影響しないように、音を出さない手漕ぎのボートにライトはたったひとりの漕ぎ手のヘッドランプのみ。鍾乳洞内は真っ暗。ただ、何艘ものボートが一度に洞窟内に入っているので、時々ほかのボートのヘッドランプが見える。

コウモリがたくさん生息するから、上から落ちてきた水が冷たければ聖水、温かかったらおしっこだよ、などと言われながらボートはゆっくりと進む。写真を撮る気満々でカメラを用意していったけれど、常にボートが動いているせいと光が足りないせいでほとんど写真にならなかった。でも、その代わり写真に集中しないと周りをより楽しめる。

地上の鍾乳洞は日本でもほかの国でも何度も入ったことがある。水中の洞窟もちょこちょこ入る。それでも、今までに見たことのない形の鍾乳石がダイナミックに天井から垂れ下がっている風景は圧巻。
それらが河川になっている鍾乳洞のせいなのか、地質のせいなのか、はたまたこの地域特有の石灰岩のせいなのかわからないけれど、ガイドのヘッドライトの照らし出すスポットはどの瞬間も感動的に目に飛び込んできた。
ううーん、もう少し光がほしいよぅ、と思うのは私だけではなかったはず。でも、そのちょっとしたじれったさと暗闇がこのツアーをなおさら幻想的にしているのかもしれない。

私たちが入れる最後のエリアは真っ暗闇の世界。ガイドが故意的にヘッドランプを閉じると、焦点の合わないめまいさえ感じうるほどの暗闇。ここには外の世界にはいない、光を必要としない生物が多種生息するという。ただもちろん、暗すぎるし小さすぎるせいで私たちから彼らを見ることはできない。そして、暗闇で生息するがゆえに視覚を持たない彼らからも、私たちを見ることはできない。

ようよう暗闇でボートに座っていることに慣れたころボートは帰路に就く。往路と同じルートを戻るだけだけれど、行きに見た風景と全く違って見えるのはヘッドランプが照らす方向が違うせいだろうか。

このボートツアーは45分程度。
ほかのツアー参加者を話しているとき、みんなでツアー全体の感想を言い合った。そしてこれはみんな同じ意見。
洞窟はすごく良かったけど、全体的に待ち時間が長すぎるー。
全ツアーが8時間で、洞窟内は45分。誰もが同じことを思うのも頷ける。
でも、確かに洞窟はよかった。
私としてはフィリピン人の観光客が圧倒的に多かったことが驚きだけど。これを同じツアーのフィリピン人に聞いてみた。「Palawanってフィリピン人の観光地なの?」彼女は首をかしげて、そうでもないけど、なんて言ってたけど実際はよくわからないらしい。

そんなこんなのUndergraund River観光。
自分たちで行くとどれくらい面倒なのかはわからないけど、おそらく私たちの参加したツアー以上には時間も手間もかかるはず。

この地底河川がよかったのは、世界遺産規模のせいなのかどうかはわからないけれど、世界遺産と聞いたらまたツアーに参加しそう。観光地っていうのはいい場所だから観光地になるわけで、観光地じゃなくてすごく素敵なところっていうのはそんなにあるもんじゃない。やっぱりいいところに行きたかったら観光地がいいのかなぁ。

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