母が玄関で大輪を咲かせている鉄線の花びらをナメクジが食べてしまう。
深い紫色の花びらがぼろぼろ。
そこで、母はどこで聞いてきたのか「ナメクジを退治するのに、ビールがいいのよ。」
と、捨ててもいい小鉢にビールを入れ、庭の一角に置く。そしてその近くに鉄線の鉢を移動させてみた。
ナメクジ退治にビールが効くって、そんなこと聞いたことない。
ナメクジって言ったら「塩をかける」でしょ?
ビールを置いたのは夜。
そして翌朝。
小鉢の中に数匹のナメクジが入ってる。
しかも、塩をかけた後のように小さくなってしまって、要は、死んでる。
ビールって、糖分が入ってるのは聞いたことあるけど、塩分も入ってるのかしら?
この「ナメクジ退治法」。母は知り合いから聞いていたらしい。
「発泡酒じゃだめなのよ。ビールじゃなくちゃ。うちのお父さんは発泡酒だけど、ナメクジにはビールあげるの。」
だ、そうだ。
さて、結果的に2日も経たないうちに10匹以上のナメクジが集まってきた。
翌日にはなぜかビールが空になっていたので注ぎ足したほど。
どうしてビールに向かって集まってくるの?
小鉢の近くだけにそんなにたくさんのナメクジがいるわけないから、明らかにどこかからこの小鉢を「目指して」這ってきているはず。
ちゃんとあの、ナメクジ特有の這った跡も残ってる。
母は突然、探究心を出し「本当に発泡酒でもだめなのかしら?」と別の小鉢に発泡酒まで用意した様子。
しかもそれを、1日に何度も覗きに行ってる。
まるで自由研究を観察をしている小学生のようだ。観察日記がかけそうだね、なんて笑うほど。
ところで、母の観察結果。
発泡酒にもそれなりに集まってくるけれど、ビールのときのように小さくならない。
つまり、発泡酒に漬かっているだけで死なないらしい。しかも発泡酒がなくなると彼らの死骸もなくなっている、ということは、またどこかに這って行った、ということ?
こういうことね、お父さんには発泡酒でもナメクジにはビール、って言うのは。
ここ数日で退治したナメクジは数十匹に上る。
よくもまあ、こんなにたくさん庭にいるもんだとも思う。
母の鉄線は新しく大輪を咲かせている。
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