2017/06/05

今年の冬のダイビング その6 ~ボラカイ島・フィリピン~

12月に1ヵ月フィリピンにいたというのに、また日本に帰る前にもフィリピンのボラカイ島に寄った。Wolle曰くバリからの帰り道にボラカイ島があるから。・・・そうだろうか。

とは言え、フィリピンに行くと決まった時から、ボラカイ島にはいくつもりだった私。9年前ダイブマスターコースを教えたCiscoが働いているから。かつてYaskoのしっぽと呼ばれていた彼も、もちろん今ではインストラクター。

フランスに籍をおくベネズエラ人のCiscoはスペイン語、フランス語、そして変な英語を自在に操り次々に店頭で旅行者を引き留め、そして逃げられている。ブロンドに目のない彼は、ブロンドの女の子には特にしつこく・・・もとい、念入りに説明をする。ビーチを歩いて20分しかかからない店からの帰り道に数時間かかるくらい友達が多く、そしてよくしゃべる。話すことがないと歌を歌う。その辺でかかっている音楽に合わせて踊りだす。いや、さすがラテン。腰を一ひねりしただけで音楽が彼の体にまとわりつくかのようだ。彼の隣でアジア人が一緒に踊ろうものなら、それがまるでエアロビクスの練習のように見えてしまう。そしてそれなのに、騒々しくない。

私が彼に会いたかった理由。3か月以上も毎日私の後ろをトレーニングのために泳ぎ続けた彼のガイドで一緒に潜りたかった理由。
3か月ほどのダイブマスターコースを終え、初めてCiscoが自分のお客さんを連れてガイドした日。ボート上のスタッフ同士でダイブサイトを決定した時、Ciscoはきょろりと聞いた。
「ねぇ、このサイトでサメはどこにいるの」
スタッフ一同沈黙。このダイブサイトはメインの見ものがサメの人気サイトだ。Ciscoだって少なくとも10本や20本は潜っているはず。
「お前何今頃いってんだよ」
「どうしてそんなこと知らないんだよ」
「いつも何見て泳いでたんだよ」
「誰だよ、こいつにサインしたの」・・・いたたたっ!
さんざんである。さらに誰も相手にしてくれない。
私は聞いてみた。ねぇ、どうしてサメのいる場所わからないの。今まで何本も潜っているでしょ、ここ。すると、予想もしなかった答えが返ってきた。
「僕はインストラクターに言われた通り生徒とインストラクターばかり見ていたんだ。だって、Yaskoもそう指示したでしょ?このサイトでサメを生徒に見せるときにはサメじゃなくて生徒の浮き沈みを常に見てろ、って。僕はこのサイトでまだサメを見たことがない」
ほほぅ。そうか。なるほど。その通りだ。私が指示したんだ、よそ見するな、って。そりゃ、Ciscoがサメのいる場所を知らないのは私の責任でもあるのか。 じゃぁ、教えてあげないとね。そうかそうか、そんなにまじめだったんだ、Cisco。
いつもへらへらとお気楽そうに見える彼の恐ろしくまじめな部分を見た気がする、これが一つ目の理由。
そしてもう一つ。
Ciscoがインストラクターになったばかりの頃。
その日私はビデオカメラを持って仕事をしていた。朝ダイバーが店を出発するところから帰ってくるところまでを陸、水中ともに撮影し、編集し、夕方お客さんに見てもらって買ってもらうという仕事だ。この仕事の時は、お客さんが私を追いかけるんじゃなくて、私がお客さんのグループを追いかけることになる。
Ciscoのグループの潜降を撮るために一足先に水底へ降りる。・・・と、 生徒さんが膝立ちで着底する予定の砂地にDevil Scorpionfish(サツマカサゴ)が擬態して座ってるではないか。このカサゴ、ひれに猛毒を持つ。刺されるとひどい痛みを伴う高熱が出る。
頭上を見ると、すでにCiscoは片手に一人ずつ生徒さんを掴んで潜降を開始している。慌ててサインを出す。ここにDevil Scorpionいるよ!
するとCiscoは目で頷いただけでそのまま潜降。そして、驚いたことに、今まで私たちインストラクターがみせたこともないポジションでスキルの練習を開始した。ダイバーが水中でとることはほとんどないポジション、水底に立ったまま着底。そう、陸にいるときのように立った姿勢でスキルの練習を始めたのだ。ちなみに、膝立ちの着底のほうが確実に安定するので、一般には膝立ちでスキルを行う。
てっきり隣の砂地に移動するかと思った。でも予定もしていないのに緊張している生徒さんを泳がせるのはかわいそうだし、大仕事だ。それを臨機応変にいともたやすくポジション変更だけで、慌てるほどの状況をクリアしてしまった。しかも説明してある予定の変更を生徒さんに自然に伝えて。そして、絶対にしてはいけないことのひとつ、インストラクターが慌てることなく。
この時、他の人がなんと言おうがCiscoがどれほどいいインストラクターなのか見た思いだった。そして彼から大いに学んだ。
私もそうだったように、ほかのインストラクターたちもCiscoのことを頑固だけどお気楽で面白くて元気な男、くらいに思っていたんじゃないだろうか。今でも思ってるかもしれない。あるいは私と同じように彼の意外な一面を見せてもらって、私のように思うようになったのだろうか。
Cisco大好き‼‼‼ って。

こんな彼がフィリピンで働いていて、フィリピンをうろつく私が立ち寄らないほうはない。


彼は私の好みのダイビングに合わせて、潮とダイブサイトを選んでくれた。私としてはほかの生徒さんと一緒にCiscoにくっついていくんでもよかったんだけど、どうしても二人で行きたかったようだ。
たった1本しか行けなかったけれど、彼が選んでくれたダイブは文句なしに私の好みだった。
流れなしの小物ダイブ。
このダイブ。もちろん水中も楽しかったけれど、ちょっと特別なダイブだった。最大深度(そのダイブで一番深かった深度 )12m弱。水温25度に2,5㎜のウェットスーツで84分。



インストラクター同士でダイブするとエアの消費をそれほど気にしないで済むのでたいていは深く行きたがる。それが体験ダイバーでも行く12m弱。
そして、25度の水温。この水温では一般的に最低5㎜のウェットスーツを着る。それが2.5㎜。
浅瀬でのダイブなので上級者ダイバーならエアの残量を気にせずいつまでもいられる。ということで84分も水中にいた。これは一般的なダイブの2倍くらいの長さだ。

透明度は15-20m。 リーフはいたって健康的。今日はCiscoも半分遊びのダイブなのでカメラを持っている。

そして私が普段よく潜る海域とは違うので、水中生物の種類も違うものが多い。


 上の左の生物。ホヤの仲間だろうか。色がきれいに出ていない写真だけど、緑の濃淡がきれいだった。
そして右の生物。なんだろう。これは写真よりも映像のほうがよくわかるかもしれない。群生する習慣のナマコかな。

ずっとこんな風に動いてるんだろうか。それとも夜は違う姿をしてるのかな。

そして下の写真の青色の生物はホヤの仲間。そしてよく見ると、ホヤの上のほうに小さな白い粒がたくさん見える。これは実際にはもやもやと動いている。小さすぎるのでほとんどのダイバーには見えないし、気にもしないけれど、小さな小さな稚魚。健康的なリーフで潜っていると、実はよく見かける。小さすぎてなんの稚魚なのかわからないけれど、これがいるということは、近い将来何かの魚の群れが見られるということ。
 84分も水中で私が夢中になっていたものの一つ。
エビ。
小さなものだと数㎜。住んでいる場所と特徴を知らないと、指をさして見せてもらってもなかなか見えないものもいる。そんな小さくてカラフルなエビたちがこのリーフにはそこら中にいた。
なるほど。これがCiscoがこのダイブサイトを選んだ理由だ、きっと。

下の写真。一見なんだかわからないという人がたくさんいると思う。

 上の写真の中央を拡大すると、下の写真になる。
ただ、私のカメラはマクロに非常に弱いため、上の写真くらいしか撮れない。
 しかもエビたちはサンゴの内側に隠れ、ちょこちょこと動くので、84分も水中にいたにもかかわらず、たったの数枚しかちゃんとした写真はない…。

 これは私が写真を撮っているところをCiscoが撮ってくれた写真。
ダイブをしない人から見るととんでもないポジションに見えるかもしれないけれど、器材でリーフを傷つけずに生物を見るためにひっくり返ってるだけで、これは自分でコントロールしてます。 でも・・・もう少しましなポジションの写真でもよかったよ、Cisco・・・。


84分はあっという間だった。Ciscoは私にぴったりくっついているわけではなく、視界から消えない程度のところで自分も写真を撮っている。そして、私がきょろきょろしだすと、大体のコースをガイドしてくれる。
友達同士で潜ると、勝手に泳ぎながら面白いものを見つけると共有するというとても面白いダイブになる。この日ももちろんそんなダイブだった。

ガイドありがとう、Cisco。


今年の冬のダイビング その5 ~バリ・インドネシア~

バリには以前一緒に働いていたMarioがいる。彼がバリに住み着いてから12年。今では立派なダイブセンターとゲストハウスのオーナーだ。いつの間にか二人の子供までいる。
私が時々バリに行くのも彼に会うため。なぜか初めて会ったころから気が合う。
ここ数年、いい加減にお前のパートナーを隠し続けるのはやめろと、さんざん言われ続けてきた。私としても紹介したいのは山々。ただWolleのお尻がなんだか重かった。冬はタイにいなければいけないわけではないのに、ピピからバリが随分遠かった。いやいや、そういうMarioだって、ポーランドまで来ているのにドイツに来なかったり、(Marioはポーランド人)バリのローシーズンにタイまで来ていてピピに来なかったりだった。
それがとうとう!
Wolleは何が理由なのか、それほどバリ行きにノリノリではなく、私が行きたがるから行くよ、っ感じだったのが、いつの間にか来年もバリね、と勝手に決めてしまうくらい結果的には気に入った様子。その理由の一つがダイビング。

ある日。Wolleがバリの水中では何が見られるのか聞いてきた。
mmmm・・・・何って言われても・・・大物小物なんでもいる気がする。
ちなみにインドネシアの海域は世界中でも水中生物の量は群を抜いて多い。3つの海流が同じ海域に流れ込むせいだ。

Wolleは小物に全く興味がない。ダイビングの時にマスクに度が入っていないものを使うので、元々遠視の彼には私がどれほど珍しいものを指さしても小さすぎて詳細が見えないらしい。Yaskoは大きいものを見せてくれない、といつも不満たらたら。

まぁ、Wolleの知ってそうな大物を言っとくか。
マンタ見られるよ。
すると、思った以上の反応。ええ~、マンタ見られるの?行く行く!

Marioに今はシーズンかどうか聞いてみると。
うーん、ベストシーズンじゃないよ。2‐30枚しか見られないと思う、とのこと。
この一言でマンタダイブが決定。Wolleはまだマンタを見たことがない。タイではマンタを見るといっても1本のダイブで1枚が一般的。2‐30枚と聞いてWolleはうほうほだ。


オニイトマキエイ、通称マンタは、体表をきれいにするために頻繁にクリーニングフィッシュの住むクリーニングステーションにやってくる。そこに住む魚に体表の寄生虫やら汚れやらをついばんできれいにしてもらう。
この習慣はマンタに限らず多くの魚が持っているもの。ダイビング中、特定の岩の近くでエラを開いて中まできれいにしてもらっている魚をよく見かける。
掃除をしてくれるのはベラの仲間。彼らは住んでいる同じ岩から移動せず、掃除をしてほしい魚がわざわざそこで泳ぎを止めてきれいにしてもらう。ベラにとってはご飯を食べているのと同じだ。どっちの魚にも利がある。

マンタがやってくるクリーニングステーションも決まったところにあり、そこに行けば日によってはものすごい数のマンタを見ることもできる。
そして都合のいいことに、バリのマンタクリーニングステーションには1年中マンタがうろうろしている。もちろん場所によってはシーズンによってクリーニングステーションが空っぽというところもある。
そういえばタイでマンタクリーニングステーションって聞いたことないなぁ。たぶん私が知らないだけだと思うけど。

ここのクリーニングステーションはいつも透明度が低めだ。バリの外のサイトと比べるとクリスタルクリアなサイトではない。が、体験ダイビングでも行ける10~12mくらいにマンタが泳ぎに来る。
この日透明度は15mほど。
Wolleの初マンタ。


 Marioの言った通り、確かに2‐30枚。ただ、一度に泳いでくるんじゃなくて、数枚ずつステーションの周りを泳いでいる感じ。1枚泳いで行ってしまうとまた1‐2枚やってくる。ほぼ1時間ひっきりなしのマンタ。

私もモルディブでマンタクリーニングステーションをガイドするときにそうだったけれど、ガイドはこういうダイブをしょっちゅうしてるから、すぐにマンタに飽きる。お客さんがマンタに夢中になっているのを見張っていればいいだけ。そして、そのうちマンタ以外の魚を指し始める。でもお客さんは一顧だにしない・・・。Wolleとこの日のガイドもこの典型のパターンだった。


私にとっても久しぶりのマンタ。あれ、前回もバリでマンタだったような気がする。その時はMarioと一緒にほかの客さんを連れていた。

Wolleはもちろん初めてのマンタに大興奮。
マンタと言えば、どのダイバーでも一度は夢見る水中生物だ。3‐4mという大きさでまず圧倒される。そしてその泳ぎ方の優雅さに目を見張る。目の前まで来てくるっと反転でもしてくれようものならマスクの中で涙さえ浮かべるダイバーもいる。

私はWolleにマンタと一緒に泳ぐコツなど話したことがないので、面白いくらいにどのマンタも彼の目の前で向きを変えてあっちのほうへ泳いで行ってしまう。水中でそれに気が付いたけど、その場で言葉を交わすことはできない。ごめんね。次回ね、次回。

2本目は近くのクリスタルベイへ。このサイトはシーズンによってモラモラ(マンボウ)を見ることができる、が、今回は時期には少し早い。その代わり抜群の透明度。
あら、Wolleはこういう透明度初めてだったのかな。2本目の後「ダイブサイトが水族館みたいだった」としきりにほめていた。なるほど。お客さんダイバーにはこういう風に見えるんだなぁ、なんて思ってしまう。




バリのダイブサイトはどのダイブサイトも個性的だ。流れのあるなし、沈船、ビーチエントリー、大物、小物等々、どんなダイビングでもできるように見える。もちろん珍しい生き物も多いし、数も多い。ちょっぴりだけ言わせてもらえば、ダイブショップからダイブサイトまでが遠い。ピピ島のように店に行って、ウェイト持って、ピアに歩いて3分。ピアからダイブサイトまで長くて30分という簡単なダイビングではない。
でも、Wolleを見ていて、お客さんがこれくらい満足するんだったら、距離も時間もどうでもいい。

来年もまたバリに行ってマンタに会うそうな。
僕はダイビング好きだからね、なんていう、普段と全く反対のことを抜かしているWolleの計画。
見てください、この超ご機嫌の写真。


今年の冬のダイビング その4 ~Phi Phi Islands・タイ~

今年、例年の冬とは違っていくつかの国を回って歩いている。
が、近くを通るというのに、これまで10年ほど冬にいつもいたピピ島に寄らないのはなんだかおかしな気分だ、というので、インドはアンダマン諸島からインドネシアのバリに移動する間にピピ島に寄った。もちろん友達に会いに行くというのが一番の理由なんだけれど。
私たちが行くことをいちいち通知しなかった友達は、私たちが今まで通り半年近く島にいるものだと思っているようで「帰ってきたの~~!」という言葉なしに「よっ。」くらいな挨拶の人もいる。近所の人に会ったようなもんである。

この島で仕事なしというのは、私にとってなかなか妙な気分。店のシフトや明日の予定、お客さんの相手、何もなし。最初の二日くらいは、何にもしなくていいなんて最高じゃん、なんて思っていたけれど、だんだんすることがなくて飽きてくる。なまじ島のことはよく知っているだけに、改めていくところもそれほど思い当たらない。大体友達は昼間みんな働いている。

去年までフリーランスをしていた店のマネージャーをしている仲のいいFloに聞いてみる。
インストラクター足りてるの。足りないんじゃない。ファンダイバー連れてくよ。DMT(ダイブマスターのトレーニングを受けている人)よりいいガイドするよ。余ってるならインド人DSD(体験ダイビング)でも行くよ。ねぇ、ねぇ、Flo、明日ボート乗っていい?器材持ってないけど。タンク2本乗せといてよ。お昼いらないから。ね。ね。
ねぇねぇとせがんでみると、フォトグラファーとしてなら毎日でもいいというオファー。
何?カメラ持たせてくれるの?それ、元々私の仕事じゃん。
この店では、普段DMT(上述)がカメラを持ってお客さんのグループを追いかける。去年までは手の足りない時に私が出ていた。そしてできるだけたくさんのお客さんの写真を撮り、それを後から見てもらって買ってもらう。フォーカスするのは、ダイビングが初めてという体験ダイバーから家族連れ、友達同士でダイビングするグループと、いくつもある。私がビデオグラファーとして働いていた時と同じことを普通のカメラでする。 この店ではカメラマンがいつも同じスタッフではなく、いわば修行中の半スタッフ達が水中写真のことを何も知らずに撮ることが多いので、私から見るといつも写真がいまいち。
今年は店にDMTが少なく、写真まで手が回らないし、いくら説明しても「フォトグラファーの仕事」を理解しないで、売れないような写真ばかり撮ってくるという。
しょうがないなぁ、いいよ。行ってあげるよ。毎日写真売ってあげるよ。
なんてなことで、ぶらぶらしていてもしょうがない昼間、好きな時にダイビングに行っていいことになった。
持つべきものは、決定権を持つ友達ですな。

さて、久しぶりにピピ島でダイビング。今年の冬はいくつか新しいところで潜って、毎回楽しい思いをしている。それなりにどこも透明度がよかったし、自分の水中の故郷のようなところに戻ってみたらどう感じるんだろう。
ちょっといつもと違う気分で海に入る。
やっぱり。「帰ってきた~」という気分。
砂地でコンパスなしでも、どの角度に進んでいけばどの岩がどのあたりにあるのか把握できるくらいのダイブサイトが私は好きだ。少なくともすでに数百本はそのダイブサイトを潜っているようなサイトだ。どこにどんな岩があって、穴があって、陰があって・・・、そこに大体何がいるか把握している。お客さんがどこを泳いでいても、写真を撮るために自分のいるべき位置も知っている。


店では去年まで結構大きないいカメラを使っていた。ただ、使い方を知らない上に複数のDMTが使っているものだから、すぐに水漏れしたり、なぜか壊れたりする。
そして今年はなんとOlympusのTaugh。このカメラは、カメラ自体にすでに防水機能がついている。それでも、カメラ本体だけでは10mくらいまでしか行けないところを水中用のハウジングに入れて使っている。万が一水中で水漏れしてもカメラ本体に防水機能がついているのでカメラ自体が壊れることがない。
その代わり、カメラ自体の性能は私にとっては今一つ。Olyympus独特で青が異常に濃く出てしまう。色彩調整も間に合わない。ちなみに、このブログに使っている写真は私のカメラで撮ったものなのでOlympusの青は出てない。


 こんな風に、カメとツーショットを撮ると、お客さんはたいてい買ってくれる。しかし、それにはお客さんがカメに遭遇した時に一緒にいなければならない。しかも、お客さんにあらかじめいい写真にするためのポジションなどを説明しておかないといけない。



 久しぶりのホームはやっぱり楽しかった。
透明度がどうとか、知らない魚や動物を見たりとかどうでもいいような気になる。
しかも何か所か潜ったところと比べてもピピ島の海は悪くない。昔と比べるとリーフも崩れてしまっているし、サンゴもびっくりくらい少なくなったけど、まだまだいけるぞ、ピピ島。


しかも、珍しくWolleが潜ると言い出した。バリでマンタと泳ぎたいって言ってたから、その練習かな。たまには二人で潜るのも楽しいけど、お客さんを連れている以上に一緒に泳いでてスキルも泳ぎ方も気になる。職業病かな。

これからは潜る頻度が減るピピ島。いつまでもいい海のままでいてほしい。
13年くらいはピピ島に住んでるタイマイのライティにもずっといてほしい。
今度ピピの海に入るのはいつかな。

今年の冬のダイビング その3 ~アンダマン諸島・ニール島~

※フィリピン・ブスアンガでのダイビングがこの前にありますが、すでに「ジュゴンに会いに行く」で書いたので省略します。

アンダマン諸島に行ってみたかった理由の一つをダイビングが大きく占めていたはずなのに、なぜか実際に島に入ったら、何となくダイビングのことを忘れてた。
時間はあるわぁ、なんて思っていたせいかもしれないけれど、「インド」っていう雰囲気とダイビングがしっくり来てなかったのかもしれない。

Havelockという町では、いくつもダイブショップがあったにも関わらず話さえ聞きに行かなかった。2週間ほどぶらぶらしていたNeil Islandでやっとこさ。しかも知り合ったポーランド人カップルの女性が体験ダイブに興味があるから話を聞きに行こう、というのでやっと腰を上げた。・・・結局彼女は潜らなかったけど。


ピアの脇にある浜辺から小さなボートでダイビングに出かける。 その日のダイバーは4人。そしてちょっぴり響きが奇妙だけど、インド人のダイブマスターがガイドする。
まぁ、インドだから当たり前の話なんだけど、私、インド人のダイバーを初めて見た。ぶっちゃけて言ってしまうと、お客さんで体験ダイビングをするインドの人は、みんな水を怖がって、インド人のお客さんを持つと1日の仕事が普段の数倍ハードになる。それでもなぜか、ダイビングをしてみたいらしい。チャレンジですな。

さて、この日のアンダマンでのダイブサイトはBus StopとMargerita。これはNeil IslandのビーチNo.1の向かいにあるダイブサイトと、ピアの正面沖にあるダイブサイト。
 
1本目の潜降中から、ほぉぅ・・・と思わず吐いたため息が泡になって水面に向かっていく。
なんと。
この青は、私が大好きだったモルディブの青とそっくりだ。距離が近いんだから当たり前の話なんだけど、きれいだ、とか、気持ちいい、とかじゃなくて、何かとても懐かしい気分でいっぱいになったダイブだった。
ガイドに言わせると、この日は2本ともこのシーズン入って以来の透明度だったらしい。普段はもう少し低いとのこと。この日透明度はどちらも30m+。
どこまでも終わりなく突き抜けていくかのような青。その下に広がる真っ白な砂地。水の動きで形成された波打った砂が遠くに行けば行くほど白から水色に、そしてはるか遠く、見えるか見えないかの辺りでいつの間にか青に溶ける。

魚の種類もタイのピピ島よりもモルディブに近い。
 上の写真も下の写真も、私のお気に入りの魚。どこにでもいるようで、決まった環境下にしかいない。
 ここまで透明度がいいと、岩陰なんかにいる小物を探す気はなくなる。青の中を泳ぐ魚の動きを楽しんでいるだけで、あっという間に1時間くらいは過ぎてしまう。
4人が4人ともエアの消費がゆっくりのダイバーだったため、2本とも70分を超えるダイブ。ゆっくりとアンダマンの青を堪能した。
 この日は流れもほとんどなく、こういう青の中で完全な中世浮力を取って無重力状態で浮いていると何もかも忘れられる。他の人にそう言ってもあまり信じてもらえないんだけど、魚を見ることなんてどうでもいい。珍しい魚を探す気にもならない。ただ水の中にいる、そのことがとても気持ちいい。
青と、自分の呼吸音と 頭上からさす光、そして自分の吐き出す泡。この泡は、全部私の肺に入っていて空気。
これだけで十分。ほかには何もいらない。


 4人とも自分の好きなところを勝手に泳ぐダイバーだったためか、ガイドも何を指すわけでもなくふわふわと泳いでいる。こういう気ままなダイブをさせてくれるガイドは少ない。

久しぶりのなつかしい青。
めんどくさがらずにダイビングに出かけてよかった。
 ただ、ひとつ言えば、やはりダイブショップが島に2軒しかないせいで競争が少ないのか、ダイビングの値段が高い。もう少しお手頃な値段でこの透明度だったら何日も行ったかもしれない。・・・とは言え、毎日Wolleを放っておくわけにもいかないか・・・。

この日のダイビング。他のダイバーが潜ったらどんな感想を持つのかわからない。もしかしたら「何にも見るものなかったじゃん」なんていう言葉が返ってくるかもしれない。実際ほかのダイバーと話していて、それらしきことは言っていた。
でも、私にとってはのびのびしたいいダイブだった。たった1年しかいなかったモルディブの海を、頭じゃなくて心が覚えていたこともうれしかった。
もしかしたら、これから先、こういう「懐かしいダイブ」が増えたりするのかな。


2017/05/24

今年の冬のダイビング その2 ~コロン・フィリピン~

フィリピン2か所目のダイビングはCoron。
この辺りでジュゴン見たいんだけどなぁ、なんて思いながら見かけるショップでちょっと話を聞く。ところがどこに行ってもジュゴンなんて言葉は一言も出てこない。
なんとCoronの見どころは第二次大戦の日本軍の沈船。・・・なんと、まぁ。

戦艦だけではなく、貨物船なども多い。

私が潜った日は1日3本のダイブ。1本目は沈船ではなく、これまた一つの見どころのBaracuda Lake(バラクーダレイク)。
Coronの町があるのはBusuanga Island(ブスアンガ島)の南東。この町の向かいにCoron Island(コロン島)という島がある。この島の西側にある湖で、水面から深度14mまでは淡水、そこから深度32mの水底までは海水、というちょっと毛色の変わった湖。
この湖には昔淡水なのにバラクーダ(オニカマス)が群れで住んでいたそうである。名前はそこから由来している。・・・が、すでに10年ほど前にはバラクーダは全くいなくなり、今では生き物自体がほとんどいない。
このダイブサイトのもう一つ面白いところ。水温。
淡水中は30℃弱という、島の周りの海と同じくらいの水温。それが14mを超えると、40℃まで水温が上がる。これは、水底から湧き出している海水のため。確かにCoronの観光地の一つに海水の温泉がある。塩分濃度も水温も高く、長いこと入ってはいられないけれど。

そんな水温なのでウェットスーツはなし。ボートがコロン島の浅瀬に着くと、ダイバーは各自自分の器材を背負って浅瀬から階段を20段くらい上がって、また降りる。すると湖のプラットフォームに降りられるようになっている。
ここはもちろんダイバー専用ではないのでノンダイバーでも泳ぎに行ける。
湖は岸壁に囲まれており、水底から何も生えていない絶壁がそそり立つ。


徐々に深度を下げていくと、突然もわぁっと気持ちの悪い水域に入る。これが水温40度。
お風呂や温泉で40度のお湯につかることはあっても、実際に頭のてっぺんまで40度の中に入ることはめったにない。あったとしてもすぐに頭を水面に突き出せる。が、ダイビング中深度14mで全身40℃に浸かるというのは、正直言って全くもって気持ちのいいものではなかった。

が、気持ち悪い、気持ち悪いとは思いながらも、しばらくその水温中にいれば徐々に慣れるもの。深度を下げていく。水底の一番深いところは32m。水底の堆積物は細かい泥なので徐々に透明度が落ちていく。そして、30mまで行くと、残りの2mは透明度0になる。自分の腕さえ見えない。そして、なんとその水の色は赤茶色。
ちなみにこれは私に常にくっついていたダイバー。
深度30m超で水温40度、透明度0というのは、正直言って もうちょっと細かい説明をしておいてほしかったなぁ、とも思う。一人のダイバーは、視界0の中に入っていく前に「ここで待ってる」というサインを出してストップしたほど。

とにかく変わったダイビング。良し悪しは別として。話のネタにはなる。
少なくとも私にとっては面白いダイブだった。


さて、2本目3本目。
たくさんある沈船の中から二つ。確か一つはオリンピア丸という沈船だったような気もするけど、ブリーフィングがあまりにも適当だったため、名前はよくわからない。覚えているのはどちらも沈船内で深度30mを超えていたということ。

私としては久しぶりの沈船にワクワク。ここのところもう何年も沈船に入っていないけれど、もともと沈船の内部に入るペネトレーションダイブが大好きだった。ただ、これはお客さんをむやみに連れていくことはできないので、インストラクター仲間で遊びに行くときに限られていた。

と、ここまで書けばわかると思うけれど、沈船内を泳ぐことは非常にリスクが高い。いくら上級ダイバーでも、レックスペシャリティダイバーでなければ沈船内に入ることはダイビング団体から禁じられている。
理由は簡単。何かあったときに水面に直浮上できないから。しかも、細かい泥がたまった沈船内をフィンを使ってパタパタと泳いだらたちまち視界が0になる。 視界0の中を迷路のような通路をたどって船外に出るなんてよっぽどでなければ無理な話だ。焦って空気を余計に吸う。パニックになる。余計に激しく動く。さらに空気を吸う。エア切れになるまで終わらない悪循環だ。そしてもちろんエア切れになったらさようなら、だ。

この日の沈船ダイブ。私たちのグループは4人。私ともう一人はインストラクター、一人ダイブマスター。そしてもう一人はアドバンスダイバー。
いくら4人のうち二人もインストラクターがいるとはいえ、私だったらこのガイドはしない。

沈船ダイブ自体は楽しかった。前を泳ぐインストラクターダイバーの泳ぎがあまりにも下手でひどく視界は悪かったけれど、もともと好きなタイプのダイビングだ。
ただ。
いくら沈船が呼び物の海域であっても、危険すぎる。アドバンスダイバー(最大深度30mしか行かないことになっている)の30m超えペネトレーションダイブ。聞いただけでもぞわぞわする。
しかもDECO(その深度にいられる最長時間を超えた状態)まで出してる。


夜、町のバーで飲んでいる時に知り合ったフリーランスのインストラクターに聞いてみた。「どこのショップも同じようなダイブするの?」
答えはもちろんNO。ただ、どのショップも、PADIというダイビング団体が作っているルールを、他の地域ほど厳密には守っていないようだ。
ガイドしているダイバーがどこまでリスクを理解しているのか、ちょっと首をかしげたくなるダイブオペレーションだった。ボート上しかり、水中しかり、さらに初心者ダイバーに対する態度しかり。

どこのショップも同じとは言わないようなので、Coronでダイビングをする予定の方、気を付けてくださいねー。

ただ、第二次大戦中の沈船というのがどこにでもごろごろしているわけではないので、ルールを守って、資格を持って潜りに行くのはとても楽しいところだと思う。
この日に潜った2艘以外にも、特徴のある沈船がいくつかあるみたい。Coronで長く潜っているダイバーの話も興味深かった。お客さんを連れて行かない船室などに入ると、骸骨なんかが残っていることもあるそうだ。

Coronには沈船だけでなくリーフダイブができるサイトもあるようだけれど、基本的には毎日沈船ダイブ。
男性に圧倒的な人気のある沈船ダイブだけど、ここの沈船は比較的流れのないところもあるみたいで、そんな沈船だったら女性でも楽しめるんじゃないかなぁ、と思う。
女性ダイバー、試しに行ってみてください。・・・あ、ライセンス取ってからね。





今年の冬のダイビング その1 ~エルニド・フィリピン~

2016年、去年の12月から3月いっぱい久しぶりの旅行に出かけた。ダイビングだけが目的じゃないし、働くわけでもないからぽつぽつとだけだけれど、行く先々で潜った。

器材は持ってきていない。移動させることを考えて器材をそろえていないので、全器材で数十キロにもなってしまう私の器材の中から必要最低限のものだけ。マスク、ダイブコンピューター、トーチ、水中カメラ、ラッシュガード、これだけ。
実際レンタルの器材で困ったのはフィン。私の足のサイズは小さすぎて、レンタルでもサイズギリギリ。しかも、これをはいた人に自力で泳がせる気はあるのかと思われるほど小さなフィン。間違うと手のひらよりも少し大きいだけのものが出てくる。
そして、ああ、持ってくればよかったー、と後悔したのは一人で浮上するときのためのSMB(浮上するとき、水面にむかって、浮上するダイバーがいることを知らせるマーカー)とスレート(水中でものを書くことができる白いプラスチックの板。これはカメラの色彩調整をするときにも使える)、そしてバンガー(ほかのダイバーの注意を引くために音を出すためのもの。私のバンガーは真鍮のクリップのようなものなので何かをぶら下げることもできる)。
要するに大きな器材はともかく、私が独自の使い方をしている小物類がなくて困った。

ともかく。

最初に潜ったのはEl Nido。
1時間も歩き回れば町全体をほぼ網羅できるほどの小さな町に数十件のダイブショップが乱立している・・・ように見える。とにかくビーチ沿いの通りはダイブショップの隣にまたダイブショップ。
日本人経営のショップもあるようで、後から聞いた話によると日本人ダイバーは皆そこに行くようだ。すでに十数年以上も日本人男性が経営しているという。

これだけダイブショップがあるといったい何を基準にショップを選べばいいのかわからなくなる。店頭に人がいるダイブショップでちょっと立ち止まって話を聞いてみると、値段はほぼ同じ。ただ、統一されているほどではない。インストラクター割引があるところ、ないところもまちまち。
その中で私が選んだ一軒Ranmarkという店は、水中の状態を質問した時に一番細かく、わかりやすく説明してくれた店。 メイン通りにあった看板を見て矢印の通りへ入っていく。通りというよりも建物と建物の間といったほうが的確かもしれない。・・・が、あとから気が付くと、実際に入った店は看板の店とは違っていた。まぁ、どっちでもいいんだけど。
ダイビングに行こうかなぁ、と思い立ったのが12月24日。どこで聞いても大型のショップは25日は海に出ないという。新し目で、しかも小型のショップのみがボートを出すらしい。

と、いうことでクリスマスにダイビング。
ボートにはほかにファンダイバーが3人。ガイドとアシストもつくという。ダイブサイトはNorth RockとHelicopter Island。
ボートは小型のスピードボート。バンカーと呼ばれるフィリピンの独特のボートでダイビングに行く店も多いし、実際ダイバーからはそのボートのほうが雰囲気があっていいという意見が多いらしいが、これからどんどんスピードボートが増えていくだろうとの話だった。

North Rockはギンガメアジの群れ、ロウニンアジなどが30m近い透明度の中を泳ぐ。

ガイドのRanceはEl Nidoですでに10年以上ガイドしているらしい。慣れた海を泳ぐ自信のようなものもうかがえる。

ただ、このサイト、小物は少ないところなのか、あるいはガイドが小物に興味がないのか、ほとんど指差しはなし。それでも、私が一人できょろきょろしていると、岩陰にはバンブーシャーク、モンハナシャコなど隠れているものもたくさんいる。

2本目、Helicopter Islandは砂地の多いダイブサイト。
タイマイが見どころらしく、それ以外はほとんどスルーするダイブだったけれど、よく見れば砂地にあれこれといる。
クリスマスプレゼントのつもりか、タイマイはゆっくりと私たちを気にせずに泳いでくれた。
ちなみに、店で話を聞いたときにはときおりレザーバックタートルも見られるらしい。 ただしレザーバックが見られる確率は10%くらいだそうだ。


このショップRanmarkのオーナーは二人のフィリピン人。そのうちの一人Marioはアシストでボートに乗っており、少々話す時間があった。
この日インストラクターになって4日目、という超新人インストラクターのMario。そんな話を気軽にお客である私に話してしまうほど気さくなひとだった・・・まぁ、ほかのダイバーには言わないほうがいいような気もするけど。
El Nidoはダイビングが盛んになってからまだ15年ほどしか経っていないという。 そのせいか、あるいはそういう海質なのか、リーフも元気でしかも透明度がいい。

1日潜っただけでは何とも言えないけれど、働いてみたらなんだかたくさん見られるような感もあった。ただ、今まだ発展途中のこの町に、さらに人が増えたら当然ダイバーも増えることになり、そうなったときに今あるショップのダイバーたちがどれくらい海を守ることができるのか。
がんばれEl Nidoのダイバーたち!