日本にいる間は、私の少ない読書の時間でもある。
実家の階段を上がったところに乱雑につまれている本。うちの階段文庫だ。
今回こんな小説を見つけた。
桜庭一樹著「私の男」 。
この作家の名前、私は聞いたことがなかった。でも、帯に「直木賞受賞」という文字をみつけ、手にしてみた。
表現法に凝ったのだろうか。物語が現在から過去へとさかのぼっていく。よって、「これから先どうなっちゃうのかな。」というドキドキはない。その代わり「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」という疑問には答えてくれる。
文体というか、内容というか。全体の雰囲気が桐野夏生の小説に似ている。一般常識を少々逸脱しているようなところとか、それを女性の主人公が淡々と受け入れているところとか。
どちらの作家も女性という共通点はある。女性が女性らしくない作風にしようと心がけると、こういう作品が生まれやすいのだろうか。
どちらの作家も筆に勢いはあるが、ちょっと他と違ったものを好む傾向にあるような気がする。・・・それなのに似ていると言ったら彼女たちは心外かもしれないけれど。
直木賞を取っているだけあって、・・・なんていう言い方をしたら失礼かもしれないけれど、人間の深いところにある「俗」をくすぐるような作品だ。
主人公たちの純粋さと俗悪をマーブルのように混ぜ合わせて、しかもそれが見え隠れするように表現してある。
この作家のほかの作品を読んでいないのでなんともいえないけれど、もしも違った作風も書くことができる作家だったら、これからどんどん売れていくんじゃないかと思う。
ただ、もしも、桐野夏生みたいに、このタイプの作風しか描けないようなら、この作家も同じ道をたどるんだろうなぁ、なんて勝手なことを思う。
2 件のコメント:
おっかえり!
実はこのブログの小説&映画コーナー
密かな楽しみだったりして
またご飯でも食べに行きましょう!
ただいま~。
楽しみだなんて言ってもらえるとは・・・かなり勝手な感想を書いているのに。
そうだね。出かける間際になってバタバタしないうちに。
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