でももうひとつはずせない大きな理由が、Sashaのワイナリー。
2004年からはじめは趣味で始めたという彼のワイナリー。
今では質を重視するワインメーカーのひとつに成長してしまった。
スーパーマーケットでは売らない。レストランにしか置かない。大量に生産しない。
そんなSashaのワインを手に入れたい人が彼のところに度々来るらしい。そこで、彼は自分のオフィスの1階にワインバー、兼ワインショップを作ることにしたらしい。
私たちが訪ねたときはちょうどバーのオープン直前だった。それもあってあんなに忙しそうにしていたんだと思うけど。
まだ外装も内装も中途半端とはいえ、ほぼ出来上がっているバーは素敵な空間だった。
今年初めて出荷らしい。しかも丁寧に作ったロゼは、ロゼと言うものの味をまったく知らない私にとってもとてもおいしい。
さて、モルドバについてから数日後、やっとSashaのワイナリーへ。
これ・・・もしどれかと入れ替わっちゃったら大変なことになるようなぁ、なんて、風でゆれるタグを見ながらいらぬ心配。
酸度とかそういうワインの要素が数字になっているみたい。私にとってこれはただの数字だけど、ワインを造る人にとっては、この数字で味が想像できるんじゃないかと思う。
何にしてもプロってすごいね。
そして、先ほどの写真と同じ大きなタンクにおもちゃのようにくっついてる小さな蛇口から、Sashaが作りかけ、でもほぼ出来上がりのワインを飲ませてくれた~。
この中にも大量のワインが・・・。
赤は白ワインほどにごっているのがわからない。
通り雨が上がった後で、みんな濡れてる。
「Yasko。あの地平線見える?」
「見える。」
「あそこまでが僕の畑だよ。」
へ?
あの地平線まで?
モルディブで一緒にいたころは、なぜか私のことをやたらと心配して、いつも私の後ろをくっついて歩いていたSasha。私が一人で歩いていると「あれ?今日は子犬ちゃんはどうしたの?」ってみんなにからかわれていた。
たった7年。でもやっぱり7年。
地平線まで・・・なんて言われると、Sashaがすごく変わってしまったような気がちょっぴりだけする。でも、誰がどう見ても少し変わり者の彼を思えばさもありなん、だ。
地平線まで連なるぶどうの木と私はなんの関係もないはずなのに、風景のせいか、Sashaのせいか、なぜかとても、胸が膨らむような気分だった。
背景が海じゃないことを除いては、7年前と同じ気分。長いこと会っていなくても、同じ気分で一緒にいられる友だちって本当にありがたい。
この日はバーベキューだったので、これは食前酒。
広い畑の中にはいくつもの種類のぶどうの木があるそうだ。
そりゃそうだ。赤ワインも白ワインも作っているんだから。
モルドバ産なんだ!と力説するSashaを最初は笑っていたんだけど、本当においしい。
日本のトマトって、甘くて赤くて、完熟トマトなんて「完璧!」っておもう。でも、そういう食物として完璧なトマトではなくて、トマトとして「こんなにおいしいトマト」にはめったに会えないと思う。ぱくぱくといくらでも口に入ってしまう。
生のトマトが苦手なWolleもちょっと挑戦してみた。
結果は・・・「トマトはトマト」だったらしい・・・。
ぶどう畑を歩きながらもSashaはいらない実や葉をちぎり落としている。
その時期には親戚一同集まって収穫するんだって。
朝からおばちゃんたちが・・・後から聞いたらSashaのママもいたんだけど・・・賑やかにやってきて、ワイナリーへ。
この日の朝は赤ワインをフィルターにかけて、レストランに搬入するためのワインの箱を作ることになっていた。
Wolleがしているのは、何枚ものフィルターを機械に取り付けている作業。
作った箱は全部で230箱。
全部手作りのモルドバ料理。
こういうのって都会に住む若い人だけの間では口に入らない。
「ほれ、出かける前に食べていけな」っておばあちゃんが出してくれるようなご飯の味。そういう味っていうのは、きっと世界共通で、どこの国に行ってもきっと同じ味がする。
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