宇江佐真理という作家の本を、ここ5,6年の間に時々読んでいた。
母が時代物の小説を手当たり次第に読むので、その中から見つけた作家さん。ただ、この方の作品はそれほど深みがなかったというか、重みがなかった。時代背景とか、設定なんかも最初のころの作品はかなりあいまいで、掘り下げていないように感じてた。
それが「雷桜」辺りからは「おもしろいね」と素直に言えるようになっていたと思う。ただ、内容なんてすぐに忘れてしまう私達・・・私と母です・・・は、単行本で読んでいるにもかかわらず、しばらくして文庫本が出ると新刊だと思って買ってきてしまう。
今回もまたやってしまいました。
2階の階段付近にあった本を手に取ると「雷桜」。あら、新刊だわ、と読んでみました。しばらくして以前読んだことがあることに気づく・・・すぐに気づかないところが少し悲しいけど・・・。
でも、まぁ、楽しめる本なら何度読んでもいいわけで。
「この人の作品、少し重みが出てきたねぇ。」などとまたぞろ同じ感想を母に伝えてみたりもする。
で、これもまた母と、ビデオを借りに行ったとき、映画化された「雷桜」がビデオになっているのを発見。
いいんじゃな~い、と借りてみる。
と。
これはひどい。
ここまで小説と内容を異にするなら、いっそタイトルを変えてあげればいいのに。小説の面白いところも、感動的な場面も、全てカット。なんだかわけのわからない、時代劇風へなちょこ恋愛映画みたいになってる。
ここまでいくと、作者に失礼なんじゃないかと思う。
作者だって、映画化されるなんて喜ばしいことだと、最初は思うにしたって、出来上がりがこれでは怒りすらわいても不思議じゃない。
雷桜、という名前と、その奇異な樹木のイメージを使いたいと思っただけのようなストーリー。せっかく以前は書ききれなかった重さを作者が描いて見せられるようになったというのに、そのよさを全て削ってしまったかのよう。
せっかくのいい作品がもったいないことになるなぁ。
概して、小説や原作を先に読むと、映画が面白くないとは言うけれど、この小説と映画はそんなレベルではなかった。タイトルが同じだけの、全く違う作品だと思えばいいかもしれない。
でも、小説のほうはよかったです。
ストーリーの奇異性は好みがあるかもしれないけれど、その分多くの人に受け入れやすいのではないかとも思う。
どちらか一方をお考えの方、是非小説にしてください。
この作品の一般的な情報です。
雷桜 by Wikipedia
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