2009/04/17

ブレスレット その後

以前、書いたことのあるブレスレットがとうとう切れた。

津波の被災後、プーケットの空港でお坊さんにもらったもの。
ずいぶん長いこと、切れそうになってた。

「切れそうなんだよねー。」
って、誰かに言ったとき、切れそうなところを瞬間接着剤で止めれば?って言われたりもしてたんだけど、そんな、無理やりとどめるよりも、自然に任せようかな、なんて思ってそのまましてた。

そうしたらやっぱり切れた。
当たり前なんだけど。

切れた瞬間、「しく」って感じて、「あ。」って思った。

これが切れるころには、私の気持ちが穏やかになってるかもしれない、なんて思ってそうしていた。
実際、今私の気持ちが穏やかになっているかと聞かれれば、YesともNoともいえる。

あの日のことを、忘れたわけじゃない。
あんなに沢山の命が一瞬にしてこの地から消えてしまった日を、その場にいた私としては忘れることができるわけもなく、かといって、私の命がここにある限り、何よりも大きな日ですとも言えない。

それでも、あのときお坊さんが私のために祈ってくれ、マーティンに渡してくれたこのブレスレットは、あの日から4年以上経つ今まで、私の腕にいつもついてた。
それがすとんとなくなってしまった今、腕時計をするにも、シャツに手を通すにも、手を洗うにも、ここ何年かしていた動作が必要なくなり、なんだかさみしい。

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