石巻市のあちこちに、ピンク色のリボン状のものが結ばれている。
作業初日、私よりもだいぶ前からボランティアに参加している知り合いが、車の中からそれを指差して言った。
「あのピンクのリボンはご遺体が見つかった場所です。」
町で折り重なっている数え切れないほどの車のワイパーに、時には2本、3本とリボンが揺れる。工事現場の柵には数十センチごとにリボンの結ばれている。
これを写真に撮るのは不謹慎といわれるでしょうか。それは一人ひとり考え方が違うと思うのでなんともいえない。
そこにリボンを結んだ人の気持ちは想像しかできない。遺体を発見した人が結んだのか、遺族が結んだのか、遺体を運んだ人が結んだのか。でもその結び目には何かしらの思いがこめられているんだろうな、と思う。
この町に来ていて一つ一つに感情移入をしていると、私の心はもちません。
私はここに、感傷に浸りに来たわけでもなく、好奇心だけで見物に来たわけでもなく、津波というものの恐ろしさを見に来たわけでもない。
私自身の家族や友達に心配をしてもらいながら、わがままだけど、自分の力で自分と似た体験をしてしまった人に、何かができたらいいなぁ、と思ってる。
このピンクのリボンを結ばれるか結ばれないかの境目にいた人は、本当にたくさんいたと思う。
今そのリボンを見て、せめてもと思えることは、その境目にいた人たちが結ばれるリボンにならなくてよかった、ということ。この1本のリボンが2本でなくてよかったと思う。そして、3本でなくてもっとよかったと思う。
でも、もっと思うことは、その1本のリボンを悲しんでいる人々が1日でも多く笑顔を見せられる日が多いといい、ということ。
できるだけたくさんの笑顔が石巻に、日本に、1日でも早く戻りますように。
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