2012/04/06

界面活性剤とサメ

先日読んでいた本「海洋生物の毒」。

その本の中にピピ島でも砂地で頻繁に目にするミナミウシノシタの持つ毒について書かれているところがあった。
さらに、
「略・・・このようにミナミウシノシタ毒は確かにサメよけの効果がありますが、最も強い忌避活性を示したのは、洗剤や歯磨きに多用されている界面活性剤のラウリル酸ナトリウム(SDS)でした。」

生活の何処に界面活性剤が使われているのか、意識しながら生活している人は、実際には少ないんじゃないかと思う。
実は私、これに関しては敏感だ。

どうして??

って、私が作っている石鹸には界面活性剤がまったく入っていないから。

そんな石鹸を何年も使っているうちに、界面活性剤の入ったものを使うと、その場で倒れてしまうほどになってしまった。
「天然素材」とか「ナチュラルなんとか」なんて書いてあるものでも、それを信じて使ってみると、たいていは使った後にふらふらと倒れこんでしまう。

なんと、うそのような話だけれど、私自身が、界面活性剤のバロメーターになるのだ。

おぉ、話がそれてしまった。

実際に界面活性剤が入っているのは、主に「何かを洗うためのもの」。
台所洗剤、シャンプー、ボディソープ、歯磨き粉、洗濯洗剤・・・等々。
単純に汚れを落とすための洗剤というのは、汚れを落とした後にその洗った物体を保護するはずの脂質等まで落としてしまうことが多いようだ。
そのため、それを不快に思わないように界面活性剤が入っている、と思われる。
ちなみに私が作る石鹸は、熟成後に天然のスクワランが生成されるので、それが肌を保護する役目をしている。

そう考えると、界面活性剤がまったく体についていない人というのは実際にはかなり少ないんじゃないかと思う。
そして、サメの嗅覚。
「小学校などにある25mプールいっぱいに水を溜めて、そこに1滴の血液を落とす。」
この血液をサメは嗅ぎ取ることが出来るといわれている。

ということは、私たちダイバーの体についている界面活性剤だって、近くまで泳いでくればかぎ分けることが出来るはずだ。
彼らが界面活性剤を嫌っているならなおさらのこと。

ピピ島の水中で私たちがよく出会うのはブラック・ティップ・リーフ・シャーク(ツマグロ)というサメ。
小型で、しかもシャイではあるけれど、しっかりいわゆるサメの形をしたサメだ。
彼らは、私たちダイバーが泳いでいることに気づくと、ささっときびすを返して逃げていってしまう。

これを私たち「シャイだ」なんていっているけど、もしかしたら彼らは私たちダイバーじゃなくて、界面活性剤に反応して逃げているんじゃないか、なんても思う。

もしもそうだとしたら、私たち人間が使っている界面活性剤の量の問題で、いずれサメに会えることはなくなってしまうんじゃないだろうか。
ダイバーとしては、それはちょっと寂しい。

私は島の中のビデオグラファーの中ではサメを撮るのが上手だといわれているようだけれど、もしかしたらその理由は、私に界面活性剤がついていないから、というものかもしれない・・・。

な~んて、私のインストラクターに言ってみたら、「バカ。お前の動きのせいだ。」と軽く一蹴された。

いやいや、本当はそれが真実かもしれない。

でも、人間が出す界面活性剤のせいで、サメの数が減る、なんていうことはないといいな。

0 件のコメント: