2009/01/18

Tuak

Golden Plazaのバルコニーで同じドミトリーに泊まっている人たちと話をしていた。
今回泊まっているのはオーストラリア人のおじさんと、ニュージーランド人のお姉さん。
おじさんの名前はつい聞きそびれてしまった。お姉さんの名前はジョージ。男の子みたいな名前だけど、ジョージアのニックネームらしい。

旅の話なんかしていて、ちょっと話が途切れたときに、おじさんがホイッっと空のペットボトルを差し出して言う。
「匂いかいでごらん。」

こんなときにはすごくいいにおいか、すごく嫌な匂いかに決まってる。一体どっちだ?なんて思いながら鼻を近づける。
正体を知らずに物を口に入れたり、匂いを嗅いだりすると、概して何なのかさっぱりわからないものだ。
そして、今回も勿論そうだ。

鼻につくようなすっぱい嫌な匂いと、フルーツの糖分のような匂いが混ざっている。

私が少し顔をしかめたのかもしれない。
おじさんは言う。「ココナツパームの木から採れたお酒だよ。」

なるほど。この甘い匂いは確かに甘口のワインに似てる。
おじさん曰く、ココナツパームの木から採取した汁を、2~3%のアルコール分になるまで、そのまま発酵させたもの。純粋な天然のお酒だという。

100%天然のアルコールだから、二日酔いもしないよ、っていうのは信じられない。
地元の人たちが昔から飲んでるお酒らしい。

名前はTuak。聞いたことない。

ジョージが「どこにでも売ってるの?」
「どこにでも売ってるわけじゃないけど、この辺の路地を入ったところにある。」と、ちょっともったいぶった様子のおじさん。

違法なのかそうじゃないのかは知らないけど、そこかしこで買えるものでもなさそう。かといって、特に隠れた場所にしかないわけでもないみたい。

地元の人のお酒ね。
そういうのを飲んで「うーーーーぅん。うまい!!」ってうなったためしは、いまだかつて一度もない。
大体、ビールのほうがおいしいからそっちが主流になったんだから。

タイにもヤドンとか、ラオカオとかいくつもそういうのがあるけど、飲み込むことがかろうじて可能、という程度のものもある。そういうのを飲んでると、我慢大会か、罰ゲームでもしているような気分になるときさえある。
そういえば、2年前に、「ここの前通ったら、ラオカオのショットを飲まなくちゃいけない。」って言うゲームを何人かでしてた。最初のうちは面白がって飲んでたけど、だんだん、できるだけその店の前を通るのは避けるようになったことを覚えてる。

話がそれた。
とにかく。
一緒に話す限り、結構旅をしていそうなジョージも「ふーん」って言ったきり、それほど食いつくわけでもなさそうな態度。私も同じく。
するとおじさんは「うん!特別だけど教えてあげるよ。」って言ってTuakの帰るお店の地図を描いてくれた。

なんだよー。もったいぶってたけど本当は最初から、教えたかったんじゃないの??
「ちょっと珍しめのローカルもの」っていう以外に、私にとってあまり魅力はない。だけど私はそれを口にしてしまうほど失礼な人でもないので、一応ジョージに「明日一緒に行ってみようか」なんて言ってみた。
なんとなーく、同じような雰囲気だったジョージも「そうだね」って。

翌日カピタンで朝食を取ったあと、しばらくバルコニーで話をして、ついに、ジョージと二人でTuakのお店に行ってみることにした。おじさんは朝早く宿を出て行ったから、別に義理でもないんだけど、二人ですることもなかったし。

おじさんの地図がわかりやすかったせいか、それともペナンの町がわかりやすくできているのか、そのお店はすぐに見つかった。

見るからにローカルな雰囲気をかもし出している店構え。怪しい以外の何物でもない。
店というよりも、家の土間にちょっとテーブルといすを置いてみたっていう感じ。広さはあるけど。

「ここだ」って発見してから、数秒は二人とも黙った。
でもここまで来ておいて入らないのはバックパッカーの(「元」ってついちゃうけど)名がすたる。
せっかく見つけちゃったんだから、潔く入ろう。

ドアを抜けると、顔中髭だらけのおじちゃんが驚いたふうもなく「2杯ね」って。
ほかのお客さんか、常連か、近所のおじさんかと思われる3人が、じっと私たちを見てる。
「ここで女の子を見たのは初めてだ。しかもふたりも。」
って一言。
そうか、やっぱり。

店のおじちゃんが差し出してくれた1杯は、ジョッキくらいの大きさのコップ。
もちろん氷なんて入ってない。

二人で恐る恐る匂いを嗅いで、ちょっと一口。
うぅぅぅぅーーーーーーーーん。
発酵しててすっぱいし、でも元の甘さも残ってるし、ヘンな味としか言いようがない。
おいしくもない。
ジョージも一口飲んで、私と目が合う。
飲めないほどじゃないんだけど・・・・。そういえばしかも、私、もともとココナツジュース好きじゃなかった。ココナツくさいわけじゃないんだけどね。

でも、ちょっと二人ともがんばって、半分くらいまで飲んだら、なんとなく慣れてきた。しかも途中で欧米人のおじさんが店に来て、持参してた氷をくれた。
氷を入れるとぐっと飲みやすくなる。でも、その分、量が増えた。

きっとWolleは知らないだろうと思って、ピピに帰ってから説明したら、名前を言う前から「Tuakのこと??」って。
えぇぇぇー。
知ってるの??つまんなーい。
ちょっとWolleに自慢できるかと思ってがんばって飲んでみたのに。

とりあえずジョージも私も1敗飲み終えたけど、後10年はもうこのお酒は飲まなくてもいい。
でもきっと、インドネシアに行ったときなんかに、どうしても飲むことになるんだろうな。

まぁ、Tuakがおいしくないということがわかったということで・・・。

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